概要
原題:LIVE OR LET DIE
製作:2020年ドイツ
発売:アミューズソフトエンタテインメント
監督:マヌエル・アーバネック
出演:ヤン・ボーレンシュミット/マヌエル・アーバネック/スティーブン・ムーアズ
ゾンビによって文明が滅んだ世界で一人旅をしていたジョンは、同じく一人で生き延びていたニックと出会い行動を共にするようになる。ニックは安全な地を示すらしい座標を持っており、二人はそれを当てにして北へと歩を進めるが…。
予告編
感想
ドイツ製のゾンビ映画。
さぞかしグロいのだろうと勝手に期待を膨らませて観てみましたが、案外そうでもない。というか、どうもインディーズ映画みたいです。お金がないなら仕方ないか。
それにしても邦題はもうちょっと真面目に考えてくれないかなと。少なくとも過去に同名の作品がいくつもあるのはよろしくないので、せめて他と被らない邦題にしてほしい…。
内容は、文明崩壊後のゾンビ世界で生き残ったヒゲモジャのオッサン二人(ジョンとニック)が安住の地を目指して過酷な旅をするというもの。
どうも「アルマゲドン・サーガ」の一話目を想起させる雰囲気。と思ったらあれもドイツが絡んでいるゾンビ映画でした。お国柄というのは滲み出てくるもんですなあ。画面にはひたすらヒゲのオッサンが映るばかりでやたらむさ苦しく、彼らが酒を酌み交わすシーンでは「俺たちと、そして希望なき未来に」と暗く乾杯するなど終始重苦しく暗いムードに包まれております。グロがなくてもこれはこれでドイツらしい。欧州系インディーズ映画なので非常に淡々としていますがそこまで芸術ぶることはなく、ゾンビとの戦闘シーンはそれなりにあるし、大したことないとはいえ頭部破壊や内臓引きずり出し等ゾンビ映画として最低限の見どころはしっかり盛り込まれています。
今のドイツの世相がどんなんだか知りませんが、私は「現実世界もこんなようなもんだよな…」などと益体もないことを考えながら観ていました。北へ行けばなんとかなる…程度の薄くて曖昧な指針に頼るしかなく、真綿で首を絞められるかのような閉塞感が漂う社会の中でどうにかこうにか食っていけてはいるものの、これといって何の希望もない。
そんな中、時折衝突しながらも育まれるオッサン同士の友情は尊いものではあります。しかしこういう陰鬱で幸薄くてペシミスティックな作品で無事「安住の地」にたどり着いてハッピーエンドになるとはビタ一文たりとも思えないわけで。そもそもドイツホラーで後味の良いエンディングを迎えた作品などかつてあっただろうか。いや、多分ない。しかしそれにしても、本作は…アッサリしすぎじゃないかなと。オッサンたちがあまりにも儚すぎるんですよ。それでも、わずかな希望を「受け継ぐ」ようなエンディングだったのでまだそこまで悪い後味ではなかったかもしれないけど。現実なんてこんなもんだよ…という厭世観をやはり強く感じてしまいました。
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