概要
原題:SHADOW IN THE CLOUD
製作:2021年アメリカ・ニュージーランド
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
監督:ロザンヌ・リャン
出演:クロエ・グレース・モレッツ/ニック・ロビンソン/カラン・マルヴェイ/テイラー・ジョン・スミス
第二次世界大戦中のアメリカ。婦人補助空軍将校のギャレットは機密書類の入ったカバンを携え、サモアへ向かう爆撃機へと乗り込む。だが、急遽やってきた得体の知れないよそ者女性ということで扱いは悪く、銃座に押し込められてしまう。そして飛行中、謎の怪物グレムリンと日本軍が同時に襲い掛かって来る。
予告編
感想
クロエ・グレース・モレッツがデカいコウモリみたいなクリーチャーと素手で喧嘩しているスチール写真をツイッターで見かけて、あまりのバカ映画臭にいてもたってもいられず朝の7時から映画館へダッシュしてきました。
するとこれが意外とシリアスな雰囲気ではないですか。第二次世界大戦中のアメリカで、何らかの機密が入ったカバンを抱えてB-17爆撃機へ乗り込む女性空軍将校のギャレット。ポリコレもへったくれもない時代なので粗暴な軍人たちにこれでもかと差別的な暴言を吐かれまくり、狭苦しい銃座に押し込められてしまう。
尺のうちおそらく半分以上はこの銃座内で展開され、クロエ・グレース・モレッツの一人芝居がひたすら続く。これはこれでシチュエーション・スリラーとしてはかなり斬新に映ります。爆撃機の銃座というポジションがあんなに恐ろしいものだとは。まだ何事も起きてないうちからも高所恐怖症患者にとっては相当な緊張感が持続します。私があんなところにいたら発狂して幻影に向かって機関銃を乱射することでしょう。
そのうえ銃座のハッチが壊れて開かなくなり、どこからともなく現れた巨大コウモリみたいな怪物グレムリンと日本のゼロ戦3機が同時に襲ってくるというとんでもない状況に。いや、ゼロ戦だけでも充分怖いのにその何の脈絡もなく出てきた巨大コウモリは一体何なんだよと笑ってしまいますが、この畳みかけるような絶望感は凄い。「元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件」と似ていますが、あれの1000000倍はスリリング。
それまでは落ち着いたシリアスなスリラーだったのに、いきなりぶっ飛んだ絵面を連発するこの振り幅がたまらない。クライマックスはもはやカートゥーンアニメも同然のバカさ加減に大笑いです。グレムリンのビジュアルもすげえアホっぽい。それでいて根底に流れる人間ドラマは一応シリアスな体を保ち続けるのが実に珍妙な味わいを醸し出しています。このうえなく真剣にふざけている映画です。
これは端的に言って最高に面白い。たまらなく大好き。このインパクトは年間ベスト級、昨年で言えば「マリグナント」に匹敵するほどの素晴らしさです。札幌シネマフロンティアでしかやってないからちょっと面倒ですが、少なくともあと2~3回はリピートしたいと思います。劇伴もめちゃくちゃ好みだったのでサントラも即買いしました。
以下ネタバレあり
ただ待望のギャレットVSグレムリンの対決は燃えたけども少しあっさりしすぎてたのでグレムリンにはもうちょっとねばって頂きたかったかなと。つーか、観終わってみると別にグレムリンがいてもいなくてもストーリーの大筋には大して影響がなかったような気がしてならない。悪役は日本軍だけでも普通に成立したんじゃないか。まあ、そういう微妙な存在感がまた「なんなのアイツは」という異質さと滑稽さを兼ね備えていて面白いのですが。何しに来たのかもよく分からんし。人間をイジメて楽しんでるだけか。
あと、あれほどまでにメンタルもフィジカルも強いギャレットが恐れて逃げ出すDV夫とは一体何者なのか。とても気になりますね。
コメント
ご紹介ありがとうございます!
それはぜひ劇場で観ていただきたいですね。
絶対損はしないと思いますよ!