概要
原題:The Ledge
製作:2021年イギリス
発売:AMGエンタテインメント
監督:ハワード・J・フォード
出演:ブリタニー・アシュワース/ベン・ラム/ネイサン・ウェルッシュ/アナイス・バレロ
クライマーのケリーは友人のソフィと一緒にアンテラオ山を訪れる。ロッジで出会ったジョシュたち4人組と仲良くなりかけるが、実はサイコ野郎だったジョシュにソフィが殺されてしまう。逃げるケリーはジョシュたちを振り切るため、断崖絶壁を登り出すが…
予告編
感想
ケリーとソフィの女性ふたりでイタリアの山へクライミングにやってきたら、運悪くサイコ野郎軍団に出くわしてしまうという登山系アクションスリラー。奴らがソフィの言うほどイケメンには見えませんでしたが、たとえイケメンであっても初対面で得体のしれない男たちと酒を飲んで騒ごうとする気持ちは理解不能かな。
このサイコ軍団リーダーのジョシュという奴が相当常軌を逸していてインパクトがあります。別にギャングでも何でもないただの一般人のはずなのに、当然のようにソフィに性的暴行を働こうとするわ、失敗したら無残に殺害して隠蔽工作を謀るわ、それを仲間にむりやり手伝わせるわ。そのうえ犯行を目撃していたケリーをも口封じのために殺そうと追ってくる。
こんなにも欲望に忠実で場当たり的なサイコクズがマトモに社会生活を送れてきたとは思えません。いくら学生時代はジャイアン的存在だったのだとしても、こんな奴と付き合いがあって一緒に登山旅行を楽しもうとしていた他のメンバーもいかがなものか。社会人ならもうスルーしてもいいやつなのではないか。とはいえその強烈なクズっぷりが突き抜けていて面白いのも確かです。
一方、主人公ケリーもちょっと変な人に見えます。ジョシュたちに追われて逃げ出すのはいいけど、普通は山を下るか森に身を潜めるとかする方が助かりそうなのに、なぜか超目立つように断崖絶壁を登り始めてしまう。「あいつらにはロッククライミングなどできまい」と考えたにせよ、別の登山道から先回りできてしまうので普通に自殺行為。この辺の行動は何かもう錯乱していたとしか思えませんが、ご都合主義として目をつぶるしかないか。
しかしわざわざ強引にそんなシチュエーションを作り出すだけあって、絶壁での攻防は非常にスリリングなものに感じられます。高所恐怖症患者から見れば命綱無しでのロッククライミングだけでも信じ難い狂気の沙汰としか思えないのに、そこで相手を蹴落としたり刃物でやり合ったりするのが半端なく恐ろしい。結構血の気が引く感覚を味わえ、楽しめました。ただあれだけ極悪だったジョシュの末路は案外アッサリしていて若干物足りませんが。あいつこそ火をつけて吊るせばよかったのに。
ボルダリングくらいならおもしろそうに見えるし、ちょっとやってみたいかなと思えるんですけどね。そこでクライミングスキルを身に着けてしまうとやはり本物の断崖絶壁に張り付いてみたいという欲求が出てきちゃうものなんでしょうか?
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