概要
原題:MUTATION ON MARS
製作:2021年中国
発売:アットエンタテイメント
監督:リウ・ナー
出演:スオ・シャオクン/シー・リャン/ファン・ズーチー/リウ・シンチー/シン・ズオユー/リー・シンヂュ/ナサニエル・ボイド
2042年、人類は火星へ移住するために現地に基地を作り、動植物を使った研究を重ねていた。だが、実験中に生物が突然変異を起こし、脱出を図った研究チームを謎の巨大クジラが襲う。中国は救出チームを送り込むが…
予告編
感想
序盤と終盤だけものすごい壮大な雰囲気が漂っている中国製SF映画。
火星にいた研究チームが謎の巨大生物に襲われ、救出に向かう…という導入部はちょっとだけ山田芳裕の「度胸星」を思い出させるし、その巨大生物が空飛ぶクジラなのは「ダライアス」のグレートシングみたいでグッときます。掴みはバッチリです。
しかし、その後はどうもいけない。最近の中国映画は大体全部そうですが、登場人物はどいつもこいつも全く印象に残らず、顔と名前が一致せず全員ただのモブとしか認識できない。1ミリも感情移入出来てないのに非常にクドいお涙頂戴シーンが一方的に展開され、シラケてしまいます。なんで中国映画界はこうも貧弱な腕力で涙をカツアゲしようとしてくるのか。それに、どうして何の脈絡もなく「小惑星がこちらに向かっている!」なんて話になるのか。タイムリミットが必要なのは分かるけども人為的すぎるのではないか。
映像的にはグレートシングのCGだけはかなり出来が良いもののそれで力尽きたと見え、宇宙船内のセットや小道具は激安。まるで「テラフォーマーズ」のように見えてしまいます。いやテラフォーマーズはジャケ絵しか見たことないですけどね。スーツがそれっぽい。
でも、激安なのは別にいいんです。それより結局のところ尺の大半がちょっとデカいカメレオンとの戦いに費やされているところがかなりアレ。なんでまたカメレオンをチョイスしたのか。確かにステルス能力はあるし、舌をビローンと伸ばして人を捕らえて食うカメレオンは厄介かもしれませんが、でもなんか…やっぱりカメレオンだとそんなに恐ろしい脅威には見えないんですよね。映像的には確実に滑稽な部類だし、だからと言ってコメディ風味にはなってなくて100%シリアスなのがヘン。尺は74分しかないのに、要約すれば火星にやってきてカメレオンと戦って帰るだけなのですごくスカスカな話に感じます。
ただ、火星で宇宙クジラやカメレオンが暴れるなんてヘンな映画はなかなかお目にかかれないので、モンスターパニック好きな好事家であれば心のコレクションに加えておく価値はあると言えるでしょう。客観的にはかなりどうしようもないダメ映画だとは思いますが、私はそこそこ楽しめました。
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