「ウィ・オール・フォール・ダウン」 感想 野蛮人はクマが好き

概要

原題:WE ALL FALL DAWN

製作:2016年アメリカ

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:カート・ナイト

出演:カーディフ・ゲルハルト/コナー・ジェームズ・ムーア/アシュリー・サントス/カリー・テリナエ


全ての大人がゾンビになり、荒廃した世界で生き残っているのは子供たちだけだった。そんな中、17歳のトッドは幼い弟ベニーを連れて旅をしていた。ある晩、頭にクマのぬいぐるみをかぶった異常者の集団と遭遇する。彼らに「仲間になれ」と勧誘されたトッドは頑なに断るが、ベニーが誘拐されてしまう。


予告編

感想



配信スルーの低予算ゾンビ映画。


…かと思ったら、ゾンビは序盤の5分間ぐらいしか出てませんでした。

そのゾンビ襲撃シーンの出来自体はわりと良かったので非常に残念。というか、ゾンビ映画として売るためにちょろっと出しただけで、作り手はゾンビには全く興味がないのではないかと考えられます。



では、ゾンビ映画じゃなかったら何なのか。大人が一人もいなくなった終末世界で、トッドとベニーの兄弟が謎の野蛮人集団(子供達)に捕まってしまう。絶対的な権力を振るうリーダーの少女に洗脳されたり、むりやり殺し合いをさせられたりする中、トッドはなんとか弟を助けて逃げ出そうとする。そこにゾンビの気配などミジンコほどもありません。現代版「蠅の王」といった趣きの話でした。



本作、子供達の野蛮人コスチュームがやけに凝ってて異様な雰囲気を醸し出しています。ボロボロの布切れをまとって顔にペイントを施しているのはまあいいとして、なぜかみんな頭にクマのぬいぐるみを加工した被り物をしていらっしゃる。テディベアを崇める宗教か何かで子供たちを洗脳しているのか。



しかし実際に崇めているのはバービー的な女の子の人形の生首を加工したご神体であり、テディベアが彼らにとってどういう存在なのかは謎のまま。単にリーダーの女の子の好みだったんでしょうか。また、文明が滅んでからそれほど時間が経っていなさそうなのに彼らがあそこまで身も心も野蛮人になり切っているのは一体なんでなのか。話の本筋より彼らの成り立ちの方が気になってしょうがない。



そういった細部の奇妙な点や、オープニングクレジットや前述のゾンビ襲撃シーンなど目を引く部分はそれなりにあり出来が悪いとは言えないものの、エンタメというよりは文芸的な香りが漂うストーリー展開にはほどよく眠気を誘われます。ゾンビ映画ファンが観ても騙されたと思うだけだろうし、子供が観たってわけわからんだろうし、一体どういう層に向けて作られたのかちょっと想像しにくい作品でした。

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