「キャビン28 ケディ殺人事件」 感想 A・ジョーンズ監督史上最高傑作

概要

原題:CABIN 28

製作:2017年イギリス

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:アンドリュー・ジョーンズ

出演:リー・ベイン/テリー・ドワイヤー/ハリエット・リース/ブレンディー・グリーン/ガレス・ローレンス


1981年、小さな田舎町ケディに越してきたシングルマザーとその子供達。だがある夜、彼らの住む家”28号棟”に怪しいヒッチハイカーが訪ねてくる。家に入れろと食い下がるヒッチハイカーを何とか追い払うが、その後マスクを被った不審者が押し入ってきて…


予告編

感想



イギリスクソ映画界の帝王アンドリュー・ジョーンズ監督とその相棒リー・ベインによる新作サイコホラー映画。


「殺人犯ジョン・リスト」に続き本作も実話ベースとなっております。どうでもいいけどイギリス人のくせになんで毎回アメリカの事件をネタにしているんでしょうか。



で、この実際にあったケディ殺人事件はアメリカでも「ストレンジャーズ/戦慄の訪問者」というタイトルで映画化されています。私はその続編の「ストレンジャーズ/地獄からの訪問者」しか観てないんですけど、まあ本作と似たような雰囲気ではあるかなと。



身も蓋もない言い方をすれば、ただキャビンでくつろいでいた家族が無慈悲な仮面の殺人鬼たちに殺されるっていうだけのひねりも目新しさもない内容なので実話と言われてもふーん、って感じですが。



しかし本作はアンドリュー・ジョーンズ監督作品にしては出来が良い…というか私が見た中ではこの監督の最高傑作と断言できるほどいつになくクオリティが高い。一体彼に何があったのか。まぐれなのか。いや、もちろんダメなところも異常にたくさんあるんですが、驚くべきことに本作にはちゃんと良いところもいくつかあるのです。



まず、夜中に怪しいヒッチハイカーが訪ねてくるシーンの不気味さが素晴らしい。ひ弱な次女が不審者とドア一枚隔てて、家に入れろとか電話をかけさせろとか押し問答を強いられるところは嫌な緊張感が漂っており、これから起きるであろう惨劇を予感させる良い前振りになっています。



また、クライマックスで無慈悲に遊び半分に被害者一家が殺されていくシーンも救いのない厭らしさがしっかり伝わってきて悪くないクオリティ。グロとかは別に何もないんですが、それにしてはまあまあイイ感じに嫌な気分になれます。あのアンドリュー・ジョーンズ監督らしからぬ演出手腕に正直驚きを隠せません。



悪い点は書ききれないほどあるのですが、その大部分を占める殺人鬼たちとの腰砕けな攻防については笑ってツッコミを入れられるシーンも多いので、クソ映画マニア的にはむしろ楽しめる部類かなと思います。ただ、本編83分のところ事件そのものは55分で終わってしまうのは実にいただけない。後の事情聴取場面は引き伸ばしの蛇足だと思うし、エンドクレジットも異様に長い。とはいえ始めから本編は55分だと考えてあとは切り捨ててしまえば逆に短い時間でサッと楽しめるお手軽ホラー映画と言えなくもないでしょう。


アンドリュー・ジョーンズ監督のファン(いるかどうか知らんけど)は観ておいて損はないかと思います。


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