「サメストーカー」 感想 愛は人をおかしくする

概要

原題:A Predator's Obsession: STALKER'S PREY2

製作:2020年アメリカ

発売:メニーウェル

監督:コリン・ゼイズ

出演:ヒューストン・スティーブンソン/ジュリア・ブランチャード


アリソンは家族と一緒にビーチへ遊びに来ていたところ、弟がサメに襲われてしまう。その危機をダニエルという好青年に助けてもらい、アリソン一家はダニエルと親交を深めていくようになる。だが、ダニエルの正体は最凶のサメ使いでありアリソンを狙うストーカーでもあった。


予告編

感想





「大人気サメシリーズ、いよいよ日本上陸!捕食、開始ーサメから助けてくれた彼は最凶のストーカーだった…」

…などと意味不明な供述をしながら密入国してきた異端のサメ映画。

なぜかシリーズ2作目を最初に発売するというこれまた意味不明な商売のやり方。1作目は来月に「サメストーカー・ビギニング」というタイトルで出すようですが、なぜそっちを最初に出さないのか?



ジャケ絵の異様に安そうな雰囲気からは「コンマビジョン配給作以下なのではないか」と危惧していたのですが、意外にもReelOneのテレビサスペンス的なクオリティ。主役はシングルマザーではなく高校生ですが、普通にイケメンストーカーに付きまとわれるありがちなサイコスリラーとなっており、意外にも至極凡庸な出来栄えです。少ないとはいえ殺人シーンがちゃんとある分、ReelOneのそれよりは少しはマシかなと思います。



これ以上ないほど奇抜なジャケ絵と宣伝をしているくせに真面目すぎて逆に肩透かし。私はてっきりストーカーが陸の上でもサメを召喚して人を襲わせるとか、あるいはストーカー自身がサメの化身でサメに変身できるとかそういうくそバカなのを想定していたのに、こんなReelOne的なトゲのないものを見せられるとは全く思いもしませんでした。よほどのキワモノ好きじゃない限り手に取らないと思われますが、逆にわりと誰でも広く浅く楽しめる部類の内容と言えます。もしかして普通にテレビ放送された作品なのかな。



そして当然のようにサメの出番はほとんどなく、冒頭で主人公アリソン(の弟)がサメストーカー・ダニエルによってサメから救われるシーンを除いてはサメ映画らしさは全然ありません。被害者をサメに喰わせて処分するシーンが数箇所あるくらいです。サメでなければならない必然性は特にない。いや、サメが出ないこと自体がサメ映画らしいと言えなくもないけども。



むしろ元々の企画はただのストーカードラマだったと思われ、そこに異常サメ愛者が紛れ込んで強引にサメ要素をねじ込んだのではないかと考えられます。サメがあまり出ない映画がサメ映画と言えるかどうかという話については「ノー・シャーク」あたりからサメ映画の概念自体が曖昧になってきていて微妙なんですが、とりあえず本作についてはサメ映画マニアが心から満足するほどのサメ映画だったとは言えないかなとは思います。

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