概要
原題:OUIJA SHARK 2
製作:2022年カナダ
配給:コンマビジョン
監督:ジョン・ミリオーレ
出演:ジョン・ミリオーレ/デボラ・ジェイン/レイリー・スミス/カイル・ゴフ/サイモン・ウェルドン/レナ・モンテカルヴォ/ジェイ・マコーリー/サブリナ・ミリオーレ/ニコラス・ミリオーレ/ロイド・カウフマン/マイク・トレビルコック
オカルト殺法マスターのアンソニーはウィジャ・シャークと激闘の後、猿と戦いながら地獄を彷徨っていた。だが、そこで地獄の悪魔カルドゥーラがウィジャシャークを使って人間界への進出を企んでいると知る。一方、アンソニーの元妻クレシーダは何とか彼を地獄から引きずり戻そうと画策していた。
予告編(?)
感想
8月26日の夜に札幌・狸小路の映画館サツゲキにて「ウィジャ・シャーク2」の"ミスティックシールド上映"なる悪魔鮫崇拝儀式が催されるということで、恐る恐る参加してきました。まさか劇場のスクリーンで自分の名前を目撃する日が来ようとは。出資した甲斐があったというものです。パーカーの下に着ていったウィジャ2Tシャツは恥ずかしくてさらけ出せなかったけど。
この手の超絶マニアックな映画はせいぜい東京でしか上映しないため、まさか札幌でやってくれるとは夢にも思っていませんでした。しかも札幌&東京限定ですよ。他の地方都市どころか本国カナダやアメリカでも一切やってないのに札幌ではなぜか観られるっていう謎の事態にむしろ困惑。こういう時は大体蔑ろにされがちな道民がこんな甘い汁を吸えるなんて…。
当日自腹でやってきてトークショーで面白い裏話を披露してくれた中野ダンキチさんとサツゲキにこれをねじこんでくれた「わんだふぉ!パレットシネマ」パーソナリティーつっちーさん、そしてコンマビジョン様の類稀なる蛮勇に感謝いたします。
サツゲキは少し前に経営元のスガイディノスが民事再生法を申請して先行きが危ぶまれており、こんな怪しいイベントを催して大丈夫なのだろうか…と心配していたのですが、販売されたチケット36枚は無事完売。これ自体が予想外だったらしく、さらに当日はコンマグッズの物販コーナーも驚くほどの大盛況。地方都市であろうとサメ映画マニアの数と情熱を決して侮ってはいけないことが証明されました。それにしても意外と老若男女バランスよく揃った客層でしたね。サメ映画にはどんな属性の人も惹きつける普遍的な魅力があるのかもしれません。
前作「ウィジャ・シャーク 霊界サメ大戦」は知らないおっさんや姉ちゃんがホンダシビックを楽しそうに洗車する等の極めてどうでもいいシーンばかりで構成された虚無系サメ映画でしたが、クライマックスの”ミスティックシールド”のところだけとんでもない瞬間最大風速を記録し、人々の脳髄に深く刻まれることとなりました。
わざわざサツゲキに来た人は当然前作を鑑賞済みなのかと思いきや、そうでない人もチラホラいて驚くと同時に心配になりましたよ。なんせ本作の尺は82分間もあるのです。意外なほど長尺。62分の間違いじゃないのかと。これでもし前作のようなZ級クオリティで尺稼ぎしまくるホームビデオだったら耐えられない人も出てくるのではないか? そもそもその中にスクリーンで上映する価値のある映像は存在するのか? とにかく不安だらけでした。
…が、本作はミスティックシールド展開時のあの神風が常時吹き荒れていると言っても過言ではないほど途方もない激珍傑作でした。まさかあの「ウィジャ・シャーク」の続編としてこれほど純度の高いブツを精製してくるとは!? ジョン・ミリオーレ恐るべしと言わざるを得ない。
まずオカルト殺法マスターが地獄をさまよい歩き、サルと戦ったり、死神と話したり、幽霊ザメを使役する悪魔の野望を阻止しようとする…なんてストーリーが型破りすぎて素晴らしい。それだけでなく映像や演出面においても非常に独創的。何かと既視感にまみれがちなサメ映画においてここまでの新機軸を打ち出した野心的作品は空前絶後と言えるでしょう。
その最も顕著な例として、サメ映画史上初のミュージカルシーンを挙げられます。あれには本当に驚いた。ビキニ美女たちを侍らせた地獄の悪魔が幽霊ザメと共に歌って踊る!まさにカオスの極み。小さいとはいえ劇場のスクリーンと音響であの珍場面を体験できたのは僥倖と言うほかない。
本作をほぼ一人で作ってるっぽいジョン・ミリオーレ氏は、ミスティックシールドが(日本でだけ)バカウケしたことに気を良くし本作では全編に渡ってオカルト殺法を連発。「ナルキッソスの鏡」等の新オカルト殺法が披露されるたびに客席から決して小さくない笑い声が巻き起こっておりました。一歩間違えばただの寒い悪乗りになりかねないところを、ジョン・ミリオーレ氏の異常な情熱とか愛の力で客受けバッチリの傑作に昇華されているから本当にスゴイよ。
また、そういう小技小ネタが充実しているだけではなく巨大化した幽霊ザメが大都市のビル群を破壊するというまるで怪獣映画のような大スペクタクルシーンもガッツリ盛り込まれており、もはやただのサメ映画とは思えないほどのサービス精神に満ち満ちています。尺稼ぎなどという堕落した概念とは無縁の情熱の塊がそこにはあったのです。巨大幽霊ザメとそのライバルの描写は全部パペット人形で押し切るファイティングスピリットも称賛に値します。
そしてエンディングテーマの
ミスティック
ミスティック
ミスティック
シールド~♪
もあまりに破壊力抜群。
全体的に劇伴のクオリティも普通に高かったのでサントラも出してほしいくらいです。
…と、このように本作は極めて満足度の高い傑作サメ映画でありましたが、今回の上映イベントではそこからもすごかった。
まずジョン・ミリオーレ氏へのインタビュー映像がおもしろすぎた。なんせ本編中のどのシーンよりも客席が大きな笑いに包まれていましたからね。なぜあんな才気あふれる逸材がスコット・パトリック(ブレット・ケリー)作品ごときの尺稼ぎ要員として呼ばれたのか不思議なほどですよ。ソフト化の際はぜひあのインタビュー映像も特典として収録してほしいですね。
そんなジョン・ミリオーレ氏は普段は学校の先生をしているとのことで、土日に家族でコツコツ作ったものと考えられます。…で、そんなものは当然のように本国では上映される予定もなく配信も全く何も決まってないのに、日本でだけ速攻で劇場公開されてしかもグッズまで作られまくって大人気。ミリオーレ氏本人は「遠い海の向こうで一体何が起こっているんだ…」と思っているのでしょう…と、そんな風に中野ダンキチ氏が語っておられましたが、本人は戸惑うどころかさらに愛を暴走させ「ミスティックシールド講座」なるおまけ映像まで作成する始末。ついには観客みんなでスマホライトを使ってミスティックシールドを作ろう…というわけのわからない悪魔的儀式まで執り行われました。
正直、上映前は「ミスティックシールドなんて恥ずかしいし申し訳程度にうちわを振るだけにしとこう」と思っていたのですが、あれだけの愛と情熱を見せられてはもう全力でスマホライトを振って応えるしかない。観客全員がそう感じたようで、実に一体感のある悪魔的儀式を完遂することができました。それにより「ウィジャシャーク3」というさらなる魔物が召喚されるのではないかと期待しておきます。
📢イベント報告📢
— サツゲキ(旧ディノスシネマズ札幌劇場) (@satsugeki_) August 26, 2022
「#ウィジャ・シャーク2」プレミア上映会にご来場ありがとうございました。貴重な情報しかないイベントでしたね🫢ミスティックシールド講座⁉を全員が受講するという謎儀式を目の当たりにしたスタッフでした😂#サメンテーター #中野ダンキチ さんの軽快なトークハマりそう…🦈 pic.twitter.com/YXECSQd8p0
↑この写真には私の姿も映り込んでいます。
まあ知り合いでも分からんであろう程度にですが。
コメント
岩石さんはあの方かなー
そしてそして岩石さん、今日「ネビュラスダーク」観ましたよ!
あのクソ自動翻訳と監督のドヤ顔に笑いました
監督のアップ多すぎないか?笑
でも私的にはなかなか良かったです
全く意味は分からなかったけどもCG凄いしクソ映画ではないですよね
全然検索にも引っかからないし謎の映画すぎますよね
え?違う角度の写真もあったんですか?
ウィジャ2Tシャツはやっぱり自分一人だったのか…
もしかすると全員コンマ系Tシャツ着てくるかも?とか思ってたんですが…
にしても36席の1回限りでは全然足りなかったようですね。スコーンさんのように参加したくても出来なかった人がどのくらい存在するのか気になります。
ネビュラスダークはインパクト絶大なオレ様系インディーズ映画でしたねえ。情熱が滾りすぎてて確かにクソ映画扱いしたくはないんですけどね。グーグル検索してもドラクエのモンスターばかり引っかかるし、ツイッター検索でも未だに私のツイートしかないのが悲しいところです。
多分あのチラ見えしてるTシャツがウィジャTじゃないかと思ってます 笑
私も無事にシャーケンシュタインTシャツ買えましたよ
何かのイベントがあれば着ていきますね
今は7日にレンタルされるシャーキュラを楽しみに待っています!
ネビュラスダークはfilmarksでも3件のレビューしかなくうち2件は酷評でした 笑
残り一つが私のです
写真見つけました、多分合ってますね 笑
シャーキュラはもうとっくにDVD届いてるんですが、レンタル開始前に感想書いていいのかいつも悩むんですよね、まあポロニア作品のネタバレしたところで誰も怒らないとは思うんですが。
filmarks見ましたけど、mugcupさんの方がスコーンさんですか?
でもきなこさんという方も私の名前を挙げてますね…?
きなこさんは私の友達でクソ映画好きなので、ネビュラスダークも岩石さんのレビューから見つけてきなこさんに教えたんですよ 笑
クソ映画同好会(笑)
2人ともテンション高いレビュー投稿されてますね~
ちょっと読ませて頂きます。
ネビュラスダークのレビューで
岩石さんのお名前を勝手に出してしまい
申し訳ありませんでした!
クソ映画同好会だか愛好会に所属している
きなこと申します。
大変失礼ながら岩石さんのことをずっと
【イワイシさん】と読んでいました。
深くお詫び申し上げます。
これからもクソ映画レビュー
楽しみにしております!!
ミスティックシーールド!!!!!
これはどうもはじめまして。
イワイシ イリミチと申します。
クソ映画同好会とは実に楽しそうな会ですね!会員は何人いるのでしょうか? 私もそんなクソ映画通のきなこさんのレビューを参考にさせていただこうかなと思います。
では…
ミスティック
ミスティック
ミスティック
シールド~♪
(カルト宗教の合言葉のようだ…)