「プレデター：ザ・プレイ」　感想　ディズニー許すまじ

概要

原題：Prey

製作：2022年アメリカ

配信：ディズニープラス独占

監督：ダン・トラクテンバーグ

出演：アンバー・ミッドサンダー/ダコタ・ビーバーズ/デイン・ディリエグロ/ステファニー・マタイアス

1719年、ネイティブアメリカンであるコマンチ族の集落。ナルという名前の少女は、一人前になるためにライオンを狩ろうとしていた。だが、森で皮を剥がれたヘビと謎の足跡を見つける。それは初めて地球へ狩りにやってきたステルス宇宙忍者の痕跡であった…

予告編

感想

あの「プレデター」の最新作が、よりにもよってディズニープラスで独占配信！！

独占配信！？

あり得ない…いや、あってはいけないんですよこんなことは。

そりゃあ、血涙を流しながらも仕方なくディズニープラスに入会しましたけどもね。無料体験期間すらねえよちくしょうめが。

こんなのマフィアに愛する者を人質に捕られ、いいようになぶられつつカネをむしられているも同然の屈辱なわけですよ。

しかも人気コンテンツを徹底的に独占してうまい汁をジュルジュル吸い続けるために劇場公開もしないし、ソフト化さえも一切してくれないっていう。いや…本当にマフィアめいたド汚いやり口ですよね。こういうのって独占禁止法にひっかかりませんかね。「プレデター」はディズニーごときが囲い込んで良いコンテンツではないのです。許せねえ…。邪悪の権化、カネの亡者であるディズニーを野放しにしておいていいのか？　いや、良くない！

…

…

…まあそれはさておき、内容の方ですが。

18世紀にプレデターが初めて地球へやってきた時の話でした。

この前日譚の企画はかなり昔から噂されてた記憶があります。私が聞いた時は確かバイキングと戦うってことでしたが、本作はネイティブアメリカン。まあそれはどっちでもいいんですけど。

ストーリーは実にシンプルで、プレデターと野生動物、白人たち、そしてネイティブアメリカンとの戦い。余計な贅肉を極限までそぎ落とし、そのままストレートに描いてきた感じ。

「ザ・プレデター」（2018年）がいらんものばかり無駄にぶち込みすぎて腐敗した最低最悪の駄作だったことを思えば、この原点回帰とも言える単純な内容には好感を持てます。コメディ要素一切なしでプレデターをちゃんと未知の脅威として扱っている。

映像的にも何だかやたら格調高く、セリフは少な目、さらに構図もいちいちかっこよく決まっているため、映画としてのランクはシリーズ中1番高いような風格さえ醸し出されています。何かとバカっぽくなりがちな宇宙人、モンスター系の映画でここまでの上質感を持った作品はなかなかないんですよね。取り返しがつかないほど思い切りバカに走っちゃったAVP2やザプレの後で、改めてここまでシリアスに「プレデター」を仕切り直してくれたこと自体は称賛しておきたいです。

ただね…。主人公のナルが弱すぎじゃない？っていう致命的な問題が。

キャラクター的にも、戦闘力的にも、魂的にも。

クライマックスであるプレデターとの一騎打ちは実にアッサリしたもんで拍子抜け。アクションはスタイリッシュでスマートでカッコイイのはカッコイイんですが、「初代」「２」「プレデターズ」などで観られた全身全霊での殺し合いみたいな熱量に欠けており、本作のプレデターは最期に「え、何コイツ？何でオレやられたの？」と納得いかなかったことでしょう。

本作にはナルの成長物語という側面もあるにせよ、とてもじゃないけどプレデターを倒すほどの人物とは思えない。まあプレデターはヤクザと相打ちになったこともあるんで元々そこまで強くないと言われたらそれもそうかもしれませんが。でもヤクザVSプレデターはめちゃくちゃ熱い戦いでしたからね。我々がプレデターに求めるのはそういうやつなんすよ。その点本作はクールすぎて暑苦しさが足りないと言わざるを得ない。殺意が足りない。一番良かったのはむしろナルの兄貴VSプレデターのシーンでしたね。主人公をナルではなく兄貴の方にしておけばもっと良かったのではないかと思います。

ということで私の感想としては「悪くはないけど物足りない」といったところで、シリーズ中での位置づけは

１．初代（信仰の対象）

２．2作目（死ぬほど好き）

３．プレデターズ（愛してる）

４．AVP（わりと好き）

５．本作

６．AVP2（ダメな子だけど嫌いではない）

＝＝越えられない壁＝＝

７．ザ・プレデター（産業廃棄物）

…という感じになりました。