「ブラッディ・スワン」 感想 今年のベスト・オブ・アマプラ謎映画

概要

原題:Bloody Ballet

製作:2018年アメリカ

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:ブレット・マレン

出演:ケンドラ・カレッリ/キャロライン・ウィリアムズ/デビー・ロション


幼少時に両親を何者かに惨殺されたアドリアナ。バレエ学校に通う彼女は大舞台の主役に抜擢された後から、周囲の人々が殺害される悪夢にうなされるようになる。やがてその悪夢は現実と化し、バレエ学校の生徒が次々と目玉をえぐられ殺されていく事件が起こってしまう。


予告編

感想 



80年代イタリアンホラーの雰囲気を忠実に再現した殺人鬼映画。

というかほぼダリオ・アルジェントですね。サスペリア、赤い深淵、シャドー等々の古い記憶がこれでもかと呼び起されました。

バレエ学校が舞台、毒々しい悪夢と現実の事件が交錯するストーリー展開、クラウディオ・シモネッティ風味の劇伴などかなりクオリティが高く、あの頃のいかがわしい雰囲気がよく出ています。



さらに特筆すべきはゴア描写で、アルジェントの全盛期を再現したかのような血肉の質感には驚いてしまいました。そのうえ殺人鬼のビジュアルも不気味な人形までもがそれっぽい。似てる似てないを別としても近年稀に見るほど過激なスプラッター具合で、アキレス腱はスッパリ切るわ脳天串刺しだわと非常に凄惨。生々しいはらわた飛び出しもバッチリ拝めるよ。しかし極めつけはカミソリで目の玉を執拗に切りつけては抉り出す場面で、それも複数回あるというつゆだく特盛っぷりにマニアもおなかいっぱいです。いや~エグイわ。



ここ最近のアマプラ謎映画は退屈なのばかりで心が折れかけていましたが、稀に…本当にごく稀にこういう素晴らしい作品が飛び出すこともあるからあなどれない。たまらないサプライズ。いや、もう本当に劇場公開されていても全然おかしくないほど質は高いんですよ。逆に言えばなんでこれほどの作品がアマプラ謎映画としてひっそり無料配信されてしまっているのかよくわかりません。ハイオクタン・ピクチャーズの作品だからですかね?



ただ、アルジェントと言えば(赤い深淵以外は大体)整合性もへったくれもない支離滅裂なストーリー展開が特徴ですが、本作はわりとキッチリまとまっています。サスペンスとして全然意外性はないというか容易に予測できてしまうタイプのお話ではあるものの、アルジェントの支離滅裂さまで盲目的に再現せずに改善できるところは改善しようという志のようなものが感じられ、単なる模倣に終わっておらず好感が持てます。ということで、前世紀のイタリアンホラー、ジャーロが好きだった人はぜひご覧になってみると良いのではないかと思います。



「ブラッディ・スワン」(Amazon Prime Video)

コメント

める さんのコメント…
はじめまして。いつもブログ楽しく読ませていただいております。
ブラッディスワン、雰囲気キレイだしバレエ女子かわいいけどアマゾンの分類でエロティックサスペンス?みたいに書かれてて気になっていました。
岩石入道さんがレビューを書いてくださって嬉しいです。積極的に見たくなりました。
他のZ級映画等も面白いものばかりで、岩石入道さんのレビューは信頼できますし、
読んでいて面白いです。
これからもブログ楽しみにしております!
岩石入道 さんの投稿…
>めるさん

コメントありがとうございます。こういう謎映画の紹介文はたま~に正直なことが書いてあったりするものの基本的にはアテにならないのですが、この映画の場合は大丈夫だと思います。キレイでかわいくてエグイですよ。私は日頃から著しく偏った栄養を摂取しているのでそんなに信頼性のある感想を書けているかどうかはちょっと自信がありませんが、今後とも楽しんでもらえれば幸いです。