「ヘルブレイザー」 感想 黄色いガウンのクソ野郎

概要

原題:Hellblazers

製作:2022年アメリカ

発売:プルーク

監督:ジャスティン・リー

出演:エド・モッローネ/クラッシュ・ビュイスト/トニー・トッド/エイドリアン・バーボー


アメリカ南西部のド田舎で、黄色いガウンを着た謎の集団が悪魔を召喚し、村人たちを襲い始める。保安官を始めとした村人たちは銃や地雷を手にし、悪魔集団に抵抗を試みるが…


予告編

感想



人口密度 3人/km2 くらいのド田舎を舞台に田舎者と悪魔カルトが殺し合うホラー。

「フィースト」っぽい雰囲気。

出来そのものは悪くないんですが、オリジナリティに著しく欠けるのがつらいところ。



主役は都会からやってきた保安官で、田舎者たちと微妙に話が合わないところが人間ドラマ的には見所か。ものすごい微妙な見所ですが。狂犬病の話題になった時、若い母親と幼児が狂犬病の犬に追い立てられ車に閉じ込められる映画「クジョー」の話をしても誰にも通じない。悪魔に襲われた時、そいつのことをマイケル・マイヤーズもどきだと呼んでも「それ誰?」と言われてしまう。1980年代が舞台なので、映画館もない荒野のカッペ共にはそんな一般常識すら備わっていなかったのでしょう。…と思ったけどテレビくらい観てるだろ。まさかテレビすら映らない田舎なのか。



オリジナリティに欠けるとは言いましたが、一応敵勢力の悪魔召喚儀式はそれなりに珍妙です。オレンジを頭に乗せた坊主頭の男たちが手を繋いで輪を作り、奇妙な踊りを踊るというもの。ただ、彼らや召喚された悪魔の正体については何も触れられないので、本当にただそいつらと村人との戦闘が繰り広げられるだけであんまり味気はない。戦闘についても低予算のためか、これといって見せ場と言えるほど派手なアクションやゴアシーンは全然ないのが厳しいところ。



ベトナム帰りの偏屈ジジイが地雷やトラバサミを駆使して立ち向かうあたりは面白くなりそうな気配が滲み出ていたものの、いかんせん出番が少なすぎて印象に残らずもったいない。クライマックスでの悪魔との対決も、チェーンソーを持ち出すのはある意味お約束で盛り上げようという意図は感じますが、特に大した攻防もなくあっさり決着してしまうのは物足りないと言わざるを得ない。手堅くまとまってはいるのでそんなに悪い作品ではありませんが、せっかく低予算ホラーを撮るなら何か一つでも突き抜けた何かが欲しいなと思ってしまいました。


「ヘルブレイザー」(Amazon Prime Video)

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