概要
製作:2019年オーストリア・ドイツ
原題:Im Schatten der Angst
配信:Tivoli Film Produktion
監督:Till Endemann
出演:Julia Koschitz,Justus von Dohnányi, Aaron Friesz
有名な建築家スパンガーが若い女性を拉致監禁する事件が発生。精神科医のエックハルトはスパンガーに精神異常、責任能力があるかどうかを鑑定することになる。そして彼女は、スパンガーにはドナウ川周辺で雨の日に他の女性たちをも誘拐していたのではないかと疑いを抱く。
予告編
感想
オーストリア・ドイツ合作のテレビ映画。
タイトルもサムネもあまりに素っ気なさすぎて全然おもしろそうに見えずスルーするつもりでしたが、アマプラ謎映画当たり屋仲間のjetさんにオススメされたので見てみました。私でも避けるような未知の映画に率先してぶち当たっていくjetさんのフロンティアスピリットには尊敬の念を禁じ得ません。
内容は、女性を拉致監禁した有名建築家のスパンガーを精神科医のエックハルトが取り調べ、刑務所へ送るか精神病院にぶち込むか鑑定するというもの。
アマプラ配信の欧州テレビ映画としては珍しく田舎ではなく都市部が舞台。それだけで結構新鮮に感じられますし、閉鎖的な人間関係のイザコザではなく殺人容疑のかかるサイコ建築家スパンガーと女性精神科医エックハルトとの心理戦もスリリング。
…ただ、スパンガーとエックハルトは病室で二人っきりで対話するシーンが多いのですが、スパンガーは精神異常があろうがなかろうが女性にとって危険極まりない犯罪者なのに拘束も何もされていないのはいかがなものか。観ていてスリリングというか普通に不安になります。スパンガーが激昂してしまう場面もあるし。オーストリアやドイツではそういうもんなのか。エックハルトや精神病院の人々は彼に襲われないという確信でもあるんですかね。
エックハルトは精神科医であって刑事ではないのに明らかに精神鑑定の範疇を超えた行動を取りまくり、他にも被害者がいるのではないかという疑いからどんどんスパンガーの内面にのめり込んでいく。その過程でスパンガーと自分にはある共通点が存在すると判明し、エックハルトはむしろスパンガーに共感を覚え、救おうと考えるようになっていく。
精神科医とサイコ建築家の対決なのかと思いきや話はどんどん予想外の方に転がっていき、何だか彼らのエゴが気にはなるもののこれはこれで面白いです。スパンガーは身勝手なナルシストであるが、そうなるには明確な原因があり、心の穴を埋めるための本人なりの方策があった。エックハルトにも似たような幼少期のトラウマがあり、スパンガーの心に深入りしすぎてしまった。被害者がいたことを思えばどうにもスッキリしない結末と感じましたが、アマプラ配信の欧州テレビ映画としてはかなり楽しめる方でした。
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