「バーバリアン」 感想 バーバリー通りの野蛮人

概要

原題:Barbarian

製作:2022年アメリカ

配信:BoulderLight Pictures / Vertigo Entertainment

監督:ザック・クレッガー

出演:ジョージナ・キャンベル/ビル・スカルスガルド/ジャスティン・ロング/マシュー・デイヴィス/リチャード・ブレイク/ジェームズ・バトラー


面接を受ける為にデトロイトを訪れたテスは、民泊サイトで予約した家で先客とかちあってしまう。仕方なく見知らぬ先客キースと共に宿泊することに。そして翌日、トイレットペーパーを探して地下室に降り、うっかり閉じ込められてしまったテスはそこで謎の隠し扉を発見する。


予告編

感想



あの忌まわしいディズニープラスに幽閉されていたホラー映画。

なので全く存在を知らなかったのですが、この度アマプラ他に脱出してきたとの情報を得て鑑賞してみました。

するとこれが滅茶苦茶にキモコワ面白いではないですか!!こんな素晴らしいホラー映画を一時とはいえ独占していたとはやはりディズニープラスはけしからん。というか、動画配信サブスクが多すぎていちいち全部チェックしてなどいられないんですよ。



内容は、デトロイトの一軒家を借りた女性テスがその地下で恐ろしい目に遭うという話。かつての住宅街が荒廃しきって治安の悪い廃墟だらけになったデトロイトそのものが、特に女性視点だと非常に危険な雰囲気を醸し出しています。いくらホテルが空いてなかったとはいえあんな物騒な地域で、しかも見知らぬ男キースとダブルブッキングして同じ家に寝泊まりするとはテスも相当なバーバリアン魂を持った強い女性であると思いました。



本作、話の転がし方と恐怖演出が非常に巧みだと感じます。テスと一緒に寝泊まりすることになった男キースが危険人物なのか? と思わせてからの、地下に広がる謎空間のおぞましく気持ち悪い雰囲気が素晴らしくじわじわ来る。かと思えば、急にバカっぽいオーナー視点になったり過去に飛んだりと、恐怖の正体も先の展開もなかなか読ませてもらえない。



ホラー映画は正直ほぼパターン化されてしまっているのがほとんどです。なので、新作を見ても「あーこれはあのパターンか」とある意味安心して楽しんでしまう体になってしまっているのですが、本作はそんな様式美に染まっていない。故に何が飛び出すのか全く分からず久々にかなりのスリルを味わえました。予測できない、正体の分からないものが一番怖い。



ただ前半は文句なしに怖いものの、後半は笑いの方に軸足を移している感があります。それはそれで滅法面白いのですが、多少もったいないような気がしないでもない。最後まで緊迫感を保ち続けるホラーは希少ですから。



とはいえ「俺はここに15年住んでるが…」のくだりやジャンピングバーバリアン、途方もなくクズすぎるオーナーの言動と行動と末路には思わず吹き出してしまいました。というかあのバーバリアンのビジュアルであの常軌を逸したハッスルぶりを見せつけられると、つい画太郎先生を連想させられてしまう。それでいて何となく切ない気持ちにさせる話でもあったりするから困る。そんな戸惑いを感じさせながらエンドクレジットへ入るタイミングもインパクト抜群。



バーバリアンの正体そのものは意外と平凡であったり、これまた意外とグロシーンもかなり控えめではあるのですが、それでも充分に私の心に消えない爪痕を残してくれる素晴らしいホラー映画でした。



「バーバリアン」(Amazon Prime Video)

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