「ノットジラ」 感想 ファスナーまる見え特撮茶番怪獣現る

概要

原題:Notzilla

製作:2020年アメリカ

発売:コンマビジョン

監督:ミッチ・ティームリー

出演:フレデリック・エン・リー/ティファニー・ウィンクフィールド/ティム・ベンシュ

サマンサ・ラッセル/マイケル・バース/ベッカ・クラヴィッツ/ダーネル・ベンジャミン


日本で発見されたメチャクチャ紀後期の酒飲みザウルス”ノットジラ”が何やかんやあってアメリカに上陸してしまう。普段は無害で小さな怪獣であるノットジラだが、酒を飲むことにより超巨大化。デカい屁をしかねない恐れがあるということで、核物理学者ブロウハートは超秘密核兵器メガブラスターを持ち出す。だが、ノットジラを守ろうとするホンダ博士が俳句バトルを挑んでくるのだった。


予告編

感想





たぶんゴジラ愛にあふれているのであろうパロディ映画。

たぶん、というのは私がゴジラシリーズをひとつもまともに見たことがないからです。あんまり特撮ものには触れずに育ってきたものでして。いや、そういえばエメリッヒのやつだけは観たな。

しかしそんな無教養な人間から見ても本作は非常に愉快で、申し分なくバカげた映画に映ります。



ノットジラはファスナーまるみえの着ぐるみ、特撮といってもミニチュアというかオモチャ感丸出しのチープさ。シーンの変わり目でさりげなくウインクするのがとてもカワイイ。そんなやつが巨大化して街中を闊歩し、ビールをグビグビ飲んでいる姿にはクソ映画マニアの心を鷲掴みにする力があります。「ウィジャ・シャーク2」でも同じことを思いましたが、金も才能もない映画製作者が見栄と知能を捨てて有り余る情熱をただ爆発させた時、そこに現れるのは崇高なる芸術と化すのです。



そうは言ってもノットジラの出番はそこまで多くはなく、尺の大半は人間が何やかんやふざけているシーンで構成されているわけですが、四六時中くだらないギャグを矢継ぎ早に連発してくれるおかげで思ったほど退屈はしません。いや、それどころか思わずブヘヘと笑ってしまう程度には楽しいギャグも混じっており、案外真面目にクオリティの高いコメディ映画なのではないかと錯覚させる力もあるような気がします。



特に、ノットジラを葬ろうとする核物理学者とそれを阻止しようとする日本人との争いがなぜか俳句バトルに発展するくだりは多くの日本人に刺さるであろう名珍場面と言えます。英語圏で俳句なんてできるの??と思って調べてみたら向こうでは「Haiku poem」と呼ばれ音節で5・7・5を作るルールになっているとか。知らなかったそんなの。またクソ映画でムダ知識が増えてしまった。



そういえば細かい話ですが、ノットジラが街に現れて逃げ惑う群衆が描かれた時、なぜか急にホットドッグを作ってパクつくおじさんが出てくるんですよね。あれは一体何のパロディだったんでしょうか? 特撮に詳しい人がいたら教えてほしいところです。私は全然特撮と関係ないんですけどダリオ・アルジェントの「インフェルノ」で何の脈絡もなくいきなり人を襲ったホットドッグ屋のオヤジを思い出してしまいました。

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