概要
原題:Picture Perfect Lies
製作:2021年アメリカ
配信:トランスワールドアソシエイツ
監督:ジョン・マーロウスキー
出演:ローリー・フォーティア/マシュー・ポールカンプ/ミーガン・エリザベス・バーカー
慈善家で大富豪の両親に大切に育てられた娘レイチェルは、誕生日パーティの日に叔母から意味深な言葉を伝えかけられる。だがその直後、叔母は何者かに殺害されてしまう。レイチェルは叔母の死を不審に思い叔母の家へ侵入するが、そこで思いがけないものを発見すると同時に何者かに襲撃を受ける。
予告編
感想
当たりはずれの激しいジョン・マーロウスキー監督の新作テレビ映画。
この人はいつも雑でテキトーなのですが、そういう単なる手抜き作もあれば度を越してテキトーすぎて逆に珍作化している作品もありついつい期待してしまいます。
どうでもいいけどひとつ前に観た「SNS中毒」に続いてまたもやローリー・フォーティアが主演。別に大した特徴があるわけでもないんですがさすがに「ま…またこのおばさんかよ!?」と驚いてしまいました。
内容は、大金持ちの娘レイチェルの誕生日パーティに意味深な言葉を残した叔母が殺害され、それをきっかけに自分の出生に疑いを持ち始めるというもの。
一応サスペンスドラマだとは思うんですが、殺された叔母の他にはレイチェルの両親と恋人、友人くらいしか登場人物がいないため、容疑者はめちゃくちゃ限られている…というか両親しかあり得ません。殺人事件の大半は身内が犯人と聞きますしね。人間関係は距離が近い方が何かとイザコザが起きやすいのです。
こんなの警察から見たってレイチェルの両親が疑われるだろうよ…と思うものの、凶器のゴルフクラブを発見した後は警察の出番が一切ないため、まるで何の捜査もされていないものと考えられます。サスペンスドラマの警察が無能なのはありがちですがここまで職務放棄を貫くのは珍しい。聞き込みも警護も何もなし。
叔母の残した言葉と写真からレイチェルは自分の出生について疑いを持ち調べ始める展開ですが、もし私が彼女の立場だったらそんなことせず「叔母さん殺されたけど、まあいいか」で流していたでしょう。なぜならReelOneのサスペンスは毎回そうだとはいえ、彼女の家があまりに裕福だからです。プール付きの大豪邸で寝室もどえらい豪勢だわ、おまけにまだ高校生なのに誕生日のサプライズプレゼントにジャガーのスポーツカーとは、ねえ…。そのうえ建設現場の監督という仕事の凱旋もしてくれるときた。女子高生にそんな仕事ができるのかは甚だ疑問ではありますけども。現場監督はともかく、もし自分だったら両親がちょっとくらい怪しいからってそんな贅沢な生活を手放したくはないですよ。
以下ネタバレあり
大方の予想通りレイチェルは小さい頃に誘拐されてきた子だったという真相ですが、あんな大富豪がいくら子供が欲しいからってわざわざ法を犯して誘拐する必要があるのかはちょっと疑問でしたね。アメリカの養子縁組の審査はそんなに厳しいのか、それとも犯罪に走るような人たちだからどこかおかしい点があってダメだったのか。あるいは、アメリカで多発する幼児誘拐事件は子供が欲しくても得られない金持ちによる犯行であり、別に珍しくもないことなのか。
あとつくづく思うのは、向こうのサスペンスドラマは「娘を奪い合う」内容のものがあまりにも多すぎですね。なんかもうそこらへんに社会的病巣でも隠れているのではないかと思ってしまうほどに多すぎる。女性向けとはいえたまには息子を奪い合ってもいいんじゃないの?って思うんですがそういうのはひとつもない以上、とにかく娘を溺愛している、または娘が欲しくてたまらない、アメリカにはそんな有閑マダムが大量に存在するのだと考えられます。
まあでも、ジョン・マーロウスキー監督作としてはそれほど手抜き感もなく意外と手堅く楽しめる一作ではありました。
「パーフェクト・ライズ ひび割れた家族」(Amazon Prime Video)
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