「ジングルベル」感想 殺人サンタのホームレス狩り

概要

原題:Good Tidings

製作:2016年イギリス

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:スチュアート・W・ベッドフォード

出演:アラン・ムルホール/クレア・クロスランド/ジョニー・ハースト


今はもう使われていない裁判所に、行き場のないホームレスたちのコミュニティが出来ていた。元軍人のサムは食料を調達し、そこでクリスマスパーティを始めようとしていた。だが、そこに凶器を携えた3人のサンタが現れる。何の前触れもなく殺戮を開始した殺人サンタ軍団から逃れようとサムたちは地下へ降りるが…


予告編

感想



クリスマスはなるべくサンタが人をぶっ殺す映画を観ておきたいね、ってことで今年はこれをチョイス。


2016年製のイギリス映画。

去年か一昨年にはアマプラで配信されていたのですが、あまりにやる気のない邦題と99分の長尺にしり込みしてその時はスルーしてしまいました。



内容は、使われていない裁判所に集まって暮らしているホームレスたちを3人のサイコ殺人鬼サンタが襲撃するというもの。



サイコサンタたちは精神病院から脱走してきたような風であり、そんなのがわざわざ社会的弱者を選んで蹂躙するってことでこの上なく不道徳。クオリティもかなり低くて間延びしており世間の評判はどこを見ても最悪。これ以上ないほどクリスマスの夜にふさわしい作品です。



低予算スラッシャー映画の殺人鬼は大抵単独犯ですが、本作のサイコサンタはなぜか3人もいる。被害者となるホームレスのコミュニティは20人以上はおり、低予算のくせにかなりボリューミーな大殺戮が拝めるのではないかというワクワク感があります。サイコ感を滾らせたサンタが寄ってくる時の不穏な劇伴も気持ち悪くて良い。



ところが殺人シーンは直接映らないパターンが多いし、格闘シーンのモタモタしたヘナチョコさには微笑むしかありません。Z級とまでは言わないけどこれは安い。何より無駄に尺が長いためスピード感がまるでなく、大変ダラダラしているのが致命的。



しかしそれでも私はわりと楽しめました。やりたいことは分かるし、人数が多くても誰が誰だか分からないこともない。本作の前に観た「MAKO」「ワーニング」があまりにもつまらなすぎた影響もあるでしょう。サメの生き血や機械油を飲んだ後であれば、その辺に積もった黄色い雪を口にしても美味と感じられる。人間とはそういうものなのです。



クライマックスでサイコサンタのリーダー的な奴が、全員並べて座らせた獲物たちの死体を見せびらかすところはちょっとだけ「アクエリアス」の名シーンをオマージュしているかのようで良かったですね。こういう見どころがそれなりにあるだけそこまで酷くはないクリスマスホラーだと思いました。



「ジングルベル」(Amazon Prime Video)


コメント