概要
原題:CYST
製作:2020年アメリカ
配給:エクストリーム(トカナ)
監督:タイラー・ラッセル
出演:エヴァ・ハーバーマン/ジョージ・ハーディ/グレッグ・セステロ/ジェイソン・ダグラス
町医者を営むドクター・ガイは、オデキ除去装置”ゲットゴーン”を発明。特許をとろうとするが、装置が暴走し被験者の腫瘍から驚異のオデキモンスターが爆誕してしまう。
予告編
感想
またしてもエクストリーム(トカナ)が全国劇場公開という暴挙に及んだ珍作低予算ゲテモノ映画。毎度ながらその蛮勇には敬服するしかない。
なんせ私でも劇場での鑑賞はスルーしてしまいましたからね。予告編の時点で相当キモかったんですよ。だって巨大なオデキを潰してウミ汁ブシャー!!ですからよ。「エチケット袋持参で鑑賞してください」みたいなメッセージまでついてましたし、どんだけ気持ち悪い映画なのかと。普通の神経をしていたら「劇場の大スクリーンで観たい!!」とはなかなか思わない作品じゃないのかと。一体何人が観に行ったんだろ。
とはいえ気になることは気になるのでレンタルはしてみたわけですが、意外にもこれがそれほどキモくない。「膿汁濃厚」「あなたはこの汚物スペクタクルに耐えられるか!?」などと強すぎる言葉で煽ってハードルを上げまくっていたわりにはそこまでばっちくない。予告編作るの上手いよなあ。結局一番キモいのはオープニングで患者の首にできた大きなオデキを治療(?)するシーンでした。
メインのオデキモンスターも、「映画史上最も醜く、キモいモンスター」「極悪物体X」と煽っているものの、むしろどちらかといえばキモカワイイ部類。しかも巨大化した後は着ぐるみなのでヌメヌメ感も薄れており、せっかく用意したエチケット袋の出番がやってくることもないでしょう。
「みんなあなたをすぐ切り離したがるよね…ぴったりくっついてるのは愛してるからなのに…」みたいな感じで極悪物体Xに対して情に訴えて命乞いする女性もおり、なかなか斬新な視点だなと感心しました。私も腰に粉瘤があるので折を見て皮膚科に行きたいと思っていたのですが、急に可愛く見えてきたような気が…気が…まあしないんだけども…
そんな感じで吐くほどのキモさを期待した筋には肩透かし気味であろうものの、普通のモンスターパニック(クラシック風味)として見れば全然悪くはなく、充分楽しめる作品です。もちろん目が肥えてる人が見てしまうとなんじゃこりゃ的な安っぽさではありますが、決してクソ映画ではない。ドクター・ガイと看護師の喧嘩の迫力、ちょっとした心理戦頭脳戦など極悪物体X以外の見どころもあり、作りは丁寧。
60年代風のレトロな空気感も充分出ており、何なら本当にその時代に作られた作品のようにも見えるくらいです。尺も73分とかなり短めだし、見た目のハードルの高さに反して気軽に楽しめる部類の娯楽作品ではないかと思います。
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