概要
原題:Good Bye Butterfly
製作:2021年アメリカ
配信:トランスワールドアソシエイツ
監督:タイラー・ウェイン
出演:アダム・ドンシク/マリー・バーク/アディソン・ロス
幼い娘を何者かに殺害されたライアン。ショックを受けた妻は家を出ていき、ライアンは独自に犯人を探し出そうとする。近所に住む怪しい男・スタンを犯人だと確信したライアンは、友人の力を借りて家に忍び込みスタンを拘束する。ライアンたちは犯行を自白させようと拷問にかけるが、スタンはシラを切るばかり。そんな中、近所でまたも幼い少女の失踪事件が起きていた。
予告編
感想
アマプラ新作サスペンス謎映画。
これ配信当初は字幕が付いてなかったんですよね。アマプラにはごくたまにそういう扱いの作品もあり、仕様なのか単なる付け忘れのミスなのかよく分からないんです。何にせよそんな雑な扱いをされる程度の作品なのかな…と思ってスルーしかけていたんですが、一週間後に確認したら字幕がついていたので改めて見直しました。
するとこれが意外にもかなり面白い。
登場人物はほぼ4人だけで舞台も狭く、それはもうアマプラに氾濫する一山いくらの安い作品には違いありません。が、その中では明らかに頭一つ抜きんでたクオリティです。これは素晴らしい。
やっぱりたまにはこういうのが混じってないとアマプラのサスペンス沼を漁る気になりませんからね。
内容は、幼い愛娘を殺された父ライアンが独自に捕まえた容疑者を拷問にかけるというもの。冒頭で惨殺された愛娘の遺体がしっかり映り、低予算ながらも本作の本気度がうかがえます。その容疑者のスタンというやつは戸建てに住んでる独身男。いつも夜になるとコップに入れた牛乳をテーブルの上に置いてじっと見つめている変人です。それが根拠というわけでもないでしょうが、ライアンはスタンを犯人と確信。友人のボクサーと共にスタンを拘束し、ボコボコにしてしまう。
スタンはどんなにひどい目に遭わされても犯行を否定するので、もしやこいつは潔白なのではないか?犯人は別にいるのではないか?…と思わされそうになります。復讐心をこじらせたライアンとボクサーが取り返しのつかない泥沼へ嵌っていく様子はなかなかスリリング。たとえ勘違いだったとしてもあれだけ痛めつけてしまったらもう解放するわけにもいかない。
ただ、登場人物が彼ら3人と事件を追う刑事くらいしかいないため、他に疑わしい人材がいないのが難点です。まあボクサーや刑事、あるいは序盤で家を出て行ったライアンの奥さんが真犯人という線がないこともないですが、それをやられてもよほどうまくやらないとたぶん困惑するだけでしょう。
しかしその辺は製作側も考慮しており、犯人の正体はわりと早めに明らかになったうえでまた別の展開へ移行してくれるのが良いです。登場人物が少ないなら少ないなりのやりようがあるというわけですね。クライマックスにおける犯人との駆け引き、戦いも緊迫感があってなかなか充実したサスペンスを堪能することができました。
以下ネタバレあり
ただ、本作はライアンが娘の死を乗り越えて新しい人生の一歩を踏み出す…みたいなポジティブなラストかなと思ったんですが、あの蝶が落ちた時の不穏な気配はむしろ真逆のように感じられました。ライアンもボクサーも英雄扱いされたことに釈然としない様子でしたし、まだ何か引っかかるものがあるような、ないような…? 「たまたま結果オーライではあったけど、俺らも相当ヒドイことしかけたロクデナシよな…」っていう後悔でしょうか。
「グッバイ・バタフライ」(Amazon Prime Video)
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