概要
原題:The Medium
製作:2022年タイ・韓国
発売:シンカ
監督:バンジョン・ピサンタナクーン
出演:ナリルヤ・グルモンコルペチ/サワニー・ウトーンマ/シラニ・ヤンキッティカン/ブンソン・ナークプー
予告編
感想
(※注:特に考察などはしていません。ただの感想です)
タイ・韓国合作のモキュメンタリーホラー。
この手の映画にしては131分と恐ろしく長尺ですが、それは大して気にならないくらいには楽しめました。
タイの片田舎で巫女を取材していたドキュメンタリーチームを襲う悪霊騒ぎ。巫女ニムの姪ミンに憑りついたモノは何なのか、女神バヤンの継承を拒否してキリスト教へ鞍替えした母親のせいなのか、どうすれば悪霊?を祓えるのか。東南アジアのじめついた土着信仰でコーティングされたエクソシストといった内容。本作はモキュメンタリーなので「こういう文化を持つ人々がいるんだなあ」という目線で観ていたわけですが、長尺だけあって丁寧にディテールを積み上げ、いかにも女神バヤンや悪霊が存在するかのように持って行く雰囲気が面白い。
ただ、怖いかというと全然怖くはなかったです。まあそりゃ精霊も悪霊も本当にいるとは思ってないんだから仕方ない。悪霊とか悪魔の類を怖がるためにはまず信仰心が必要です。前述の通り中盤までの雰囲気は良いですが、そこからのクライマックスの地獄絵図はいくらなんでも急にアクセル踏みすぎというか現実離れしすぎており、かえって恐怖感が薄れたように感じました。そこまでいくならモキュメンタリー形式じゃない方がいいと思いますしね。
とはいえその分見世物的なサービス精神には溢れており、それまでのノリとはまた別の面白さがあります。悪霊に憑りつかれたミンが犬を茹でて喰らいついたり、さらにあろうことかいたいけな乳幼児にまで喰らいついたりとやけに食欲旺盛。なかなか他では観られない胸糞描写がビシバシ繰り出されて驚きました。さすがに直接じっくり映るわけではないものの、生きながら鍋に押し込まれる犬の悲鳴が心の柔らかいところに突き刺さります。犬好きや幼い子持ちの方がご覧になるのは避けた方がいいでしょう。
以下ネタバレあり
ミンの家系に問題があり、ご先祖様が多くの人々から恨みを買いまくっていたせいで末代まで祟られていたという話ですが、そんな理不尽な理由でこれ以上ないほどひどい目に遭わされるという点だけはちょっと怖いですね。女神バーミヤンは関係あったのかなかったのかよくわかりませんでした。まあご先祖様だけでなくミンやその身内も相当な業を積み重ねていたとの描写はあり、一見のどかなタイの片田舎に溜め込まれた破裂寸前の悪意、そこから滲み出る不穏な空気が一番の見所だったかなと思いました。
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