「ハロウィン THE END」 感想 ハドンフィールドの憂鬱な日々

概要

原題:Halloween Ends

製作:2022年アメリカ

配給:パルコ

監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン

出演:ジェイミー・リー・カーティス/アンディ・マティチャック/ローハン・キャンベル/ウィル・パットン/カイル・リチャーズ/ジェームズ・ジュード・コートニー


2019年、ハロウィンの夜。コーリーはバイトでジェレミーという少年の子守りをしていたところ、いたずらで屋根裏部屋に閉じ込められる。取り乱したコーリーはドアを蹴破り、はずみでジェレミーを転落死させてしまう。

3年後。ローリーは新居を購入し、孫のアリソンと2人で暮らしていた。彼女たちは偶然コーリーと関わることになり、街の人々から疎外されている者同士で距離を縮めていくが…


予告編

感想





2018年版「ハロウィン」、2021年の「ハロウィンKILLS」に続く再リブート3部作の完結編。

どうでもいいけど邦題は「ハロウィン ENDS」でいいと思うんですがね。



結論から言うと、本作は何だか今一つ楽しみにくい微妙な内容でした。

前2作はこれだけ長く続いているシリーズ作品のわりには丁寧かつ豪勢な出来で素晴らしかったんですが、本作はそもそもスラッシャー映画ですらなくなってるうえにマイケル・マイヤーズの出番も非常に少なく、肩透かしを食いました。



ではスラッシャーじゃなければ何なのかというと、子守りバイト中の事故で子供を死なせてしまった青年コーリーと、ローリーの孫アリソンとの恋愛や苦悩といった暗い青春ドラマがメインとなっており、全然「ハロウィン」を見ている感じがしません。この展開はせいぜい前半くらいで後半からはちゃんとマイケルが暴れるのかな…とか思ってたら終盤まで延々とコーリーがウダウダしていたのでけっこうゲンナリしてしまいました。



ただまあ、こういう迷走はわりとよくあるというかある程度仕方ないことなのかもしれません。「ハロウィン」といえばあのテーマ曲が流れ、マイケル・マイヤーズが人々を惨殺していく内容にしかならないわけで、こんなにたくさん続編を作っていればそりゃマンネリ回避の奇策も打たざるを得ないというもの。過去の例を挙げれば1982年の「ハロウィン3」もマイケルとは何の関係もない別物になっていたし、「4」ではマイケルが復活したものの「5」「6」ではくそつまらんオカルト路線に走って失敗。それからまた1998年に「ハロウィンH20」で復活したけども、次作の「レザレクション」が微妙な出来でまたシリーズ打ち止めに。さらにその後ロブ・ゾンビ監督でリブートした2007年版はかなり良い出来だったものの、その続編はまたしてもわけのわからんスピリチュアル路線?に走って打ち止め。



そこら辺のことを思えば本作はまだましな方だとは思います。スラッシャーホラーではなくあくまでハドンフィールドを舞台にした暗~い青春ドラマとして観れば出来そのものは悪くない。コーリーのやらかした事故やハドンフィールドの嫌な雰囲気、アリソンの境遇等その全てがマイケルの影響を受けて起きていることには違いないので、直接マイケルが出てこなくても存在感がないというわけでもない。言ってみれば「サメがなかなか映らないサメ映画」に通じるものがなくもないというか。



問題があるとすれば、そんなものを求めている観客がほとんどいないであろうことです。コーリーがマイケルの邪悪さを受け継いで弟子入りしたような流れになり、あのマスクを付けて殺人を犯すというのはいかがなものか。「13日の金曜日」でも偽者のジェイソンが出てくる作品がありましたが…「コーリー・カニンガム」という名前からは13金を連想させるものがあるので製作者もそれを意識したんでしょうか?



一応クライマックスでのローリーばあさんとマイケルとのバトルは高齢者同士のわりにはそこそこ見応えがあり完結編としてスッキリできる終わり方ではあったものの、満足度は低め。作中で私が一番テンション上がったのはコーリーのオヤジが職場でヴァンダムの「ハード・ターゲット」を観ているシーンでした。なんでそんなの映したんだろ。


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