「リザード」 感想 巨大飛翔蜥蜴直撃

概要

原題:LEIO

製作:2022年タイ

発売:インターフィルム

監督:チャリット・クリリードモンコ

出演:ゴルフ・ピチャヤ・ニティポーサンクン/ファン=タナントン・ニーラシン/ナタチャ・デ・ソウザ/スパチャ・スワノン


祖父の葬式で故郷へ帰ってきた人気ラッパーのカオ。だが、故郷は慢性的な水不足に悩まされていた。そんな折、地元のyoutuberが賞金100万バーツを出して地下水掘削コンテストを開催する。カオも友人と共に参加するが、会場付近の地下には巨大な人喰いトカゲが潜んでいた。


予告編

感想





タイ産の巨大飛翔トカゲ・パニック映画。


すんげー投げやりでやる気のない邦題からしてアサイラム的なやっすいビデオスルー映画かと思いきや、何気に相当のカネがかかっております。CGトカゲのクオリティが非常に高く、迫力があるのです。それに加えて笑いと涙と感動を誘っているかのような気合の入ったドラマパートから察するに、どうもおそらく本国ではそれなりの規模で劇場公開した作品だと考えられます。



ただそれでも、地下水掘削コンテストで巨大トカゲが現れ、飛んで襲ってきたり昼寝したりする…というしょうもない話のわりには108分とえらい長尺なのがちょっとつらい。この際主人公カオと祖父との心温まる思い出の回想は全部カットすべきではないか。さらに地下水掘削コンテスト開始前のシーンも大体いらないので、そこも削って80分くらいにまとめてくれたらなと。どうしても長くしたいんなら人間ドラマよりトカゲの昼寝シーンを増やした方が良いと考えられます。



というわけでどうもトカゲと共に眠たくなる作品ではありますが、しかしそれでも滲み出るお国柄には独特の面白味があります。地下水掘削コンテストにやってきた奴らは車の屋根に仏像やら何やらを乗っけたりしており、そんな珍妙なブッダカーが徒党を組んで荒野を激走する様は微妙に怒りのデスロードのようなノリで楽しくなってきます。罰当たりなんだか敬虔なんだかよくわかりませんが。舞台はタイの田舎なので雰囲気はゆるゆる。そもそも地下水掘削なんて気軽にコンテストするような事業でもなかろうと。



そんな混沌の中、ド派手に襲ってきたかと思いきや急にピックアップトラックの上でまったり昼寝し始める巨大トカゲも妙に可愛らしく、ほのぼの感に拍車をかけてくれます。


「見て、寝てるわ」


これを観ていたら私もたまにはトカゲを愛でたくなってきました。近場に怪しげな爬虫類館があるので試しに行ってみようかな。


一応スプラッターな感じでえぐいやられ方をする奴もいるものの、全く何の緊張感もありません。人骨だらけのトカゲの巣に入ったら入ったで


「怪物のダイニング・ルームだ!」


こんな反応をされてはやはり緊張感は生まれません。別にそんなもの出そうとしてないんだと言われればそれまでですが、どうせならヒロインが生きたまま保管されずそのまま喰われてくれてたらもっと印象に残るいい映画になったのになあ。そんな風に思いました。



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