「コマンドーニンジャ」 感想 国際色豊かなNinja模様

概要

原題:Commando Ninja

製作:2018年フランス

発売:コンマビジョン

監督:ベンジャミン・コンブ

出演:エリック・カルレシ/フィリップ・アリエ/ステファン・アセンシオ/オリヴィエ・ドブレメル/テマン・ファグール/セシル・ファーグ/アナエル・リンス/シャーロット・ポンサン


山奥で隠居生活を送っていた元兵士のジョン・ハンター。ある日、彼の元にかつての戦友ホプキンスがやってくる。なんとジョンの元妻が謎の忍者軍団に殺害され、娘のジェニーが誘拐されてしまったというのだ。娘を奪還すべく、ジョンは完全武装で最強の忍者軍団に戦いを挑む。


予告編

感想





肉体は兵士! 心技は忍者!

滾る血潮はアメリカン!


滾る血潮はアメリカン!


滾る血潮はアメリカン!





■2018年フランス映画


■2018年フランス映画


■2018年フランス映画







何も知らずに観たら何の疑いもなく80年代のアメリカ映画であると信じてしまいそうなほど80年代アメリカの空気を再現した奇跡の自主製作映画。特にオープニングクレジットの雰囲気は80年代アメリカそのものとしか言いようがない。これがクラウドファンディングで32000ユーロ集めて作られた作品とは…実に素晴らしい。どこにも手抜きはなく、何の脈絡もなく襲ってくる恐竜ですら「必殺!恐竜神父」の恐竜よりも遥かによく出来ています。ベンジャミン・コンブさん、絶妙にボンクラ臭漂う変な名前だけど凄すぎます。



日本で最も酔狂な映画配給会社コンマビジョン様も、そんな狂気には狂気で応えようと今の時代にわざわざVHS版を発売するというとてつもない蛮勇を奮ったうえ、なぜかブルーレイまで発売する暴走特急ぶりには畏敬の念しか抱けません。令和の時代に現存するビデオデッキが一体どれだけあるというのか。このわざと荒い画質にしてある映画をブルーレイにする意味は何なのか。一体どういう商売だよ。儲ける気が全く毛ほども無いとしか思えません。



内容の方は、全編に渡って80年代の様々な映画のパロディがこれでもかとギチギチに詰め込まれています。しかもクオリティは非常に高く、驚くほどの再現度です。元ネタは観れば大体すぐ分かるし、娘の部屋にポスターが貼ってあったりするのでここでいちいち列挙はしませんが、特に濃度が高いと感じたのはやっぱり「プレデター」ネタですね。マッチョ忍者ソルジャー vs 光学迷彩レッド忍者!これは熱いですよ。アクションもすごく頑張ってる。もしかすると「ザ・プレデター」だの「プレデター:ザ・プレイ」なんぞよりよっぽどプレデターしていたかもしれません。このコンブ監督に本家プレデターの新作を撮って頂きたいくらいです。どこの何者か知らないけども。



コンブ監督だけでなく出演者も本当に役者なのかもわからんし、仮に役者だとしても全く無名の人たちだと思うんですが、主役の人はムッキムキのゴツイ筋肉をお持ちでありツワモノのオーラが充分すぎるほどに発散されている点が実に素晴らしい。そこがヘナチョコだと全てが台無しですからねえ。そんなスーパーマッチョがベトナムで捕虜になった際、なぜか現地人に「お前はアメリカ人だ。だからお前には忍者の魂がある」などと言われて修業をつけてもらうくだりはもう笑い転げるしかございません。



日本が西洋料理を独自に発展させて「洋食」という日本の食文化にしてしまったように、忍者もアメリカで勝手に明後日の方向へ進化して「Ninja」という別物の伝統芸能と化しているわけですが、いよいよそれが世界の共通認識となったようです。なんせこれをフランス人がフランスで撮ってるわけですからね。忍術の師匠もベトナム人だし、日本人の影などどこにもない。しかしそんな異様で狂った光景が、これ以上ないほど微笑ましく、生温かい気持ちにさせてくれる…。繰り返しになりますが、間違いなく素晴らしい作品です。80年代を生きた者はぜひVHSかブルーレイを買って観るべきではないでしょうか。



コメント

mugcup さんの投稿…
買ったのー?!いいなぁぁあ!80年代を生きてきたけどVHSデッキはないし5000円出してブルーレイも買いたくないので配信を待ちますー!
岩石入道 さんの投稿…
>mugcupさん

いや、ここまで書いといてなんだけどノーマークだったので買ってはおりません笑
配信はもう始まってるのでぜひ!