「ダーク・シスター 殺人の手引き」 感想 悪夢的ネオ・ジャーロ

概要

原題:Sororal/Dark Sister

製作:2018年オーストラリア・アメリカ

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:サム・バレット

出演:アマンダ・ウッドハムズ/ニコラ・バートレット/リアム・グラハム


誰かが殺人を犯す悪夢に悩む画家のキャシーは、それをそのまま絵で表現していた。だが、その絵を見た刑事によってキャシーの悪夢は現実にあった事件だと判明。そして悪夢の殺人鬼はキャシーの周囲の人々をも手にかけ始める…


予告編

感想



アマプラ配信の新作謎スリラー。

全編わざとらしいくらいに毒々しい色彩だったり、ゴブリンみたいなサウンドを鳴らしてみたり、そのうえ60年代か70年代あたりが舞台だったりとまたしても往年のダリオ・アルジェントをリスペクトしました系の作品のように見えました。こういうのをネオ・ジャーロというようですね。主人公キャシーの描く絵もサスペリア2のアレっぽかったなあ。



それはそれで私の好きな方向ではあるのですが、本作はいくらなんでもテンポが極悪すぎて厳しいものがあります。一応1時間36分しかないはずなのに何かの間違いかと思うほどシークバーが進んでいかない。「そろそろクライマックスかな? え…?まだまだあるの…?」「そろそろオワリだよな? は…!?まだこんなにあるだと…!?」と何度も残りの尺を確認しては絶望させられます。正直つらい。考えてみれば昔の映画はこのぐらいテンポ悪かったような気がしないでもないけど、わざわざそんなところまで再現しなくてもよいのではないかと言いたい。



照明、音楽、美術、小道具にはかなりこだわってる感があるので雰囲気だけはかなりいいんですよね。最初の15分くらいはそれで誤魔化されながら何となく楽しめなくもないような気はします。殺人を犯す悪夢に苦しむ女性が主人公となると、本人が犯人ってありがちなパターンだろうな…と思わせておいて「愛を制御する実験」(?)だの超能力だのとトンチキな方向へ進んでいく感じは嫌いじゃないです。まあその辺はアマプラの説明文で微妙にネタバレされてるんですけども。



しかしテンポの悪さに加えてみんな暗く固い真顔でボソボソとしゃべり、殺人シーンもアルジェントリスペクト系のわりにはグロ要素少な目でどうにもテンションが上がらない。一応、血糊の量だけはわりと多く使ってはいますが。珍妙なストーリーは把握しておきたいと思う程度には好奇心をそそるものの、あまりのだるさに半分くらいは寝てしまったので結局よく分かりませんでした。ただ、ラストのキテレツ極まりない異様な光景だけはアルジェントとは全然違う独創的な臭いを感じたので、超スローテンポな映画に耐えられる人は鑑賞してみてもいいかもしれないです。



「ダーク・シスター 殺人の手引き」(Amazon Prime Video)


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