「M3GAN/ミーガン」 感想 子供とのコミュニケーションは大変

概要

原題:M3GAN

製作:2023年アメリカ

配給:東宝東和

監督:ジェラード・ジョンストーン

出演:アリソン・ウィリアムズ/ヴァイオレット・マッグロウ/エイミー・ドナルド/ロニー・チェン/ブライアン・ジョーダン・アルバレス


玩具メーカー社員のジェマは、事故で両親を失った姪のケイディを引き取ることに。ケイディとどう接していいのか悩む中、彼女はジェマの開発したロボットに興味を示す。それに気を良くしたジェマは新しい子供向けアンドロイド「ミーガン」を開発。商品テストとプレゼンと育児を兼ねてケイディとペアにする。だが、ミーガンは次第に暴走を始めるのだった。


予告編

感想





AI人形の暴走などを描いたSF育児スリラー。


公開したらすぐ観に行こうと思っていたのですが、激混みで2週間ほど様子見せざるを得なかった作品。ふだん私が観に行くようなSFとかスリラーとかホラー系の作品は大抵平日にはガラガラなのに、これはどうしてそんなにも大人気なのか。



しかし思い出してみると「エスター/ファースト・キル」の時もどえらい混んでたし、小さくてカワイイ女の子が主役であればホラーだろうと何だろうとみんな見に来るのかもしれないなと思いました。



そしてホラーなのかと思っていたら全く何ひとつ怖くないっていう。ミーガンの暴走といっても殺しの量も質もホラーファン的には物足りないにもほどがあり、そもそもPG12だから子供でもわりと安心して観られる…というよりこれも子供に積極的に見せたいタイプの教育的作品のようです。それともこんな育児をしていてはいけませんよと若い親に訴えかけているのか。まあ両方か。



ジェマはAI人形の開発に熱中するあまりケイディの相手をAI人形に丸投げしてしまうわけですが、ミーガンが早い段階で暴走したから逆に良かったように見えました。ミーガンの出来が良すぎたためにケイディがどんどん依存していく描写の方が暴走よりもよっぽどうすら寒く感じたというか。



ちょっと引き離しただけでミーガンを返せ返せと尋常でないヒステリーを起こしまくる子供の方が怖いんですよ。自分のせいで、引き取った子供の性根が取り返しのつかないほど歪んでしまった…!どうすんだこれ…!というね。



昭和生まれがデジタルネイティブ世代に何となく感じる不安を拡大させたようなもんでしょうか? まあ私の親世代もファミコンに熱中する子供たちを見て似た感情を抱いていたことでしょうが。いつの時代も子供とのコミュニケーションは大変です。



そういう心労に比べれば、ミーガンが物理的に襲ってくる場面などどうってことはありません。グロも厭らしさも皆無な殺人描写は非常に淡泊。しかしどうしてあんなに強く作っちゃったんですかね。AIの性能よりもあの運動性能の方が技術的には圧倒的に凄いのではないか。とてもじゃないけどたった1万ドルで量産できるロボの動きとは思えない。



そんなもんをたった3人のチームを率いて開発してしまうジェマはさだめし超天才エンジニアなのだろうと思いますが、自分とこのCEOも含めて結構ミーガンに殺されてしまった責任をどう取らされてしまうんでしょうかね。それによってはまたケイディが病んでしまうのではないか。一見ハッピーエンド風のラストを見て、そんな心配をしてしまいました。



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