概要
原題:Typhoon
製作:2022年中国
発売:ハーク
監督:シュー・シーシン
出演:リウ・グワンチェン/ニー・メイシー/ソン・ヅゥチャオ、ソン・チン
家族旅行中に台風に見舞われ、人命救助中に幼い息子を死なせてしまったイーファン。10年後、そのトラウマから娘に対する過保護さをウザがられ、ついには妻から離婚届を突きつけられてしまう。そんな家庭危機の中、再び強力な台風が近づいていた…
予告編
感想
中国産の台風映画。
あちらにおいてこの手のジャンルは「超強台風」や「ハリケーン・マックス 超破壊」など、あらぬ方向にすっ飛んでいて愉快な珍作が多いのでそれを期待してレンタルしてみました。
…が、残念ながら本作はいたってフツー。障害は台風に誘拐の二本立て、そこに家族愛を絡めて小ぢんまりと短い尺にまとめた極めて真っ当で優等生的な作品でした。色々雑なことは雑なのであくまで中国産にしては…、ですが。どうしてこんなに真面目なのか。中国にはこんなお行儀のよい作品を求めてはいないんですよ。
どうでもいいけど煽り文句で「人類最大の危機!」「人類は生き残れるか!」とか言ってるけど例によって数人しか出てこないし、人類っていうか一つの家庭が危機に陥る程度の規模感です。別にそこまで強い台風でもないですからね。中国より日本の配給会社の方がよっぽど不真面目です。
CGは一部かなり安っぽいとはいえ肝心の災害描写についてはそれなりに見栄えは良いとも言えるし、ベタベタなテンプレの組み合わせとはいえ、ドラマ的にもそこまでひどい手抜きではなかったと思います。
妻と娘にウザがられる過保護オヤジは珍しくも何ともないけど、誕生日にGPS付の腕輪をあたかも素晴らしいものであるかのようにプレゼントしようとするのはさすがに度が過ぎており、みんなドン引くに決まってるだろうと思いました。しかしそれが後で役に立ってしまうんで若干モヤモヤします。いくら役に立ってもあんなの贈ってくる親なんて絶対イヤですよ。私ならその辺の野良犬にでもつけておきます。
母親の仕事がらみで娘が誘拐されて云々ということで、災害映画なのにクライマックスで1対5の格闘シーンがあったりします。ここは主役側が5人の方なのでそこだけはちょっと珍しい絵面でした。組織的犯罪のわりに悪党が少ない…というか出演者自体が少なく、過保護オヤジのグループ5人以外は街にほぼ存在しないかのような空気感です。
このように何とか多少インパクトのある部分を掬い上げてはみましたが、珍作マニア的にはそれでもやっぱりイマイチです。中途半端に食べられる物を出されても何の印象にも残らないのです。中国にはもっと完全に頭のいかれたモノを作ってくれないと困ります。人肉饅頭やダンボール肉まんのような劇物を出せとまでは言わないけども、せめてプラスチック製のコメ100%のおにぎりみたいな産業廃棄物を出して好事家を唖然とさせてほしい。そんな風に思いました。
「メガ・ハリケーン」(Amazon Prime Video)
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