「イモータル・フィスト 不死身の戦士」 感想 BLEACH~アメリカ編~

概要

原題:Immortal Fist: The Legend of Wing Chun

製作:2017年アメリカ

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:ロン・ベイヤー

出演:シルヴァナ・カミニティ/ジョッシュ・フェスラー/トリ・ミラー


毎晩、拳法で男どもをなぎ倒す夢を見ていた少女カヤ。ある日、彼女は公園で和風のコスプレイヤー4人組と出会う。彼らは全員が謎の敵バンシーと戦う不死身の戦士であり、時の操縦者や風の守護者たちであった。彼らによれば、カヤの先祖は詠春拳の血統の最後の子孫だというのだが…


予告編

感想



これもアマプラで有料配信中(299Yen)のアクションファンタジー映画。

当然のようにインディーズです。



いや…インディーズというか…これは「ブリーチ」「るろうに剣心」などのジャンプ・コミックス大好きな10代のナード&ギークたちが学園祭用に撮影したモノではないかと考えられます。



先に良いところを挙げておくと、チャンバラや格闘アクションシーンの編集だけはものすごい頑張っているように見えます。そもそもの動きがショボいところを最大限カッコよく魅せようと加工しまくっており、それはある程度成功しています。ショボいと言ってもたまにバク転したりするので全部が全部ショボイというわけではないし、学園祭で流せばそれなりに盛り上がるんじゃないでしょうか。



しかし、

それ以外は相当ヤバいシロモノです。



主人公カヤはブリーチとるろ剣のファンだと言ってますが、この作品の製作スタッフは全員そういうジャンプ的なのをやりたくてたまらないのだと思われます。内容的にはどちらかと言えばブリーチ寄り。


ある日カヤの前に謎の怪しい4人組が現れて彼女を非日常の戦いの世界へ誘う…みたいな話なんですが、その4人組が相当にアレ。

アマゾンの紹介文にも


「彼女を4人のコスプレイヤーと見まがう男女が見守っていた。」


とか書かれている通り、単なる痛々しいコスプレイヤー共にしか見えないのです。



特にダボダボの黄色い着物を着たただのモヤシっ子な白人少年「ゴクウ」(不死身:石の守護者)や、黒い着物を着て顔にアミダクジのタトゥーを入れたモヤシっ子白人少年「ジャフ」(不死身:時の操縦者)の恥ずかしさは相当えぐい。ゴクウってあなた。逆にジャフって何だよ。こいつは共感性羞恥心をビンビンに刺激されます。絶対将来布団の中で悶えるやつですよこれ。昔なら学園祭だけで済んだものを、全世界に大公開してしまえるとはとんでもない世の中になったものです。



他には破壊の天使サリもなかなかの破壊力ですがこいつは出番がほとんどなく、主人公格なのは風の守護者タイフォンとなります。彼だけはそこそこゴツイ体格をしており、顔つきにも威厳がある。彼だけは不死身の戦士と言われてもそこまで違和感はないでしょう。



ところで主人公カヤは何をするのかと思いきやほとんど何もすることがなく、


「ウィンチャンの血筋は七大戦士の一つ

君の高祖母は人間界で武術を考案した最初の女性だ」


などとジャンプ的なエリート血筋であることが語られますが、別に何もしません。風の守護者タイフォン人類の敵バンシーとバトってるところをボゲーと蚊帳の外で眺めるばかりです。カヤは物語的に別にいてもいなくても良かったような気がしてならない。一応最後の最後にかめはめ波みたいなのを出してたけども。



それはそうと「ウィンチャン」って何だ?と思って調べたら詠春拳の英名らしいですね。ブルース・リーの師匠イップ・マンが使う中国武術。本作の原題を直訳すると「不滅の拳:詠春拳の伝説」となります。まあ確かにそれっぽい手技の応酬は繰り広げられてましたが、どうにもその辺の公園でコスプレイヤーがダンスしているようにしか見えないのが痛すぎた。



あと最後にどうしても突っ込んでおきたいのが、アマプラのジャケ絵(サムネ)では戦国武将のような兜と鎧を身に着けたカッコいいガイコツみたいな怪物がメインで映っているのですが、本編にはそんな奴は全く出てきません。一応ラスボスがガイコツみたいな奴ではあるのですが、単なるボロキレをまとってるだけでそんな恰好してないっていう。TWAは一体何をしているのか。



まあ、あらゆる点でツッコミどころにまみれているので好事家は299円出してもそこまで損はしないんじゃないかなと思います。



「イモータル・フィスト 不死身の戦士」(Amazon Prime Video)

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