「ダムド・フォレスト 禁忌の森」 感想 呪われた魔女 vs 愛の戦士

概要

原題:La Dama del Bosque Maldito

製作:2017年スペイン

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:ジョージ・カルジャ

出演:ジョージ・カルジャ/ベアトリス・ウルサイス/ジゼル・カレラ


森へキャンプにやってきた若者たち。だが、そこには過去にひどい目に遭って呪いの魔女と化した女が化け物と共に棲む危険な森だった。婚約者のクララを魔女に奪われたヒゲ坊主は、「彼女を本当に愛しているなら期限までに探して見せろ」と言われ、ナイフを片手に森を駆け巡る。


予告編

感想



製作・監督・脚本・編集・視覚効果・主演:ジョージ・カルジャ


…による、恋愛モンスターファンタジーアクションホラー巨編!

2023年9月13日現在、アマプラで絶賛有料(@299)配信中!!



内容は、森へキャンプにやってきた愛の戦士ヒゲ坊主(ジョージ・カルジャ)が魔女にさらわれた婚約者クララを助けるために魔女やイノシシ仮面と戦うというもの。これはなかなかの珍品です。



Z級レベルに超絶低予算な作品だと思いますが、カメラワークとか特殊効果やらが異様な密度で凝りまくっており、えぐいほどに濃厚な情熱が注がれたであろうことが容易にうかがえます。何かあるとすぐにヒゲ坊主の周りをグルグル回りまくるカメラワークがたまらない。ザコモンスターのイノシシ仮面やゴブリン軍団も丁寧に作り込んであるようで細部に妥協はありません。



また、森へキャンプに来ただけのはずなのになぜか急に最近のFFキャラというか昔のビジュアル系バンド的な黒い衣装に身を包んで勇ましく雪山を駆け上がるヒゲ坊主のオレカッコええやろ的な雰囲気がたまりません。森のどこにそんなかっけぇ衣装があったのか。どうして背中にわざわざそんな殺傷能力高そうなナイフを隠してキャンプに来ていたのか。



基本的にビジュアル優先であり、ここまで自己陶酔感あふれるオレ様映画も久しぶりです。ちなみにヒゲ坊主以外の男たちは序盤でホラー映画みたいなやられ方で雑に退場させられます。かっこよく活躍する男はオレだけでええんや!ということですね。



とはいえそんなオレ様ヒゲ坊主が無双するのかというと全然そんなことはなく、むしろかなり弱いところは好感が持てます。敵に向かって、かっこいい伝説のナイフ片手に何度もかっこいいポーズでジャンピングアタックをかまそうとしては大体スカされてゴロゴロ転がっていくし(自分にナイフが刺さらないか心配になる)、イノシシ仮面にも力では敵わないし、枯れ葉とか枯れ木を飛ばしてくる魔女の圧力(?)にも基本逆らえません。



それもすべては囚われの婚約者クララへの愛で乗り越えるのだ!的な。肉体はいかに貧弱であろうと愛はすべてに勝る的な。ウットリ胸焼けするようなうるわしき愛のイメージ映像的なやつがしつこくたびたび差し挟まれます。人間には愛が一番大切なもの。愛が奪われると心は化石になってしまうのです。




注:以下ネタバレあり





でも婚約者はそのへんの石を拾って魔女の頭を殴ろうとして返り討ちにされてしまい、絶望した愛の戦士ヒゲ坊主が闇堕ちするエンディングは予想外。こんなに苦しいのなら愛などいらぬ。これだけ濃厚なオレ様映画なのに同時に無力感も漂う雰囲気は良かったんじゃないかなという気もうっすらとしましたので、まあ良かったんじゃないかなと思うことにしました。





「ダムド・フォレスト 禁忌の森」(Amazon Prime Video)


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