「ヘル・ディセント」 感想 地獄のアフガン

概要

原題:The Lair

製作:2022年イギリス・アメリカ・ハンガリー

発売:クロックワークス

監督:ニール・マーシャル

出演:シャーロット・カーク/ジョナサン・ハワード/ジェイミー・バンバー/レオン・オッケンデン/マーク・ストリーパン


英国空軍のシンクレアはアフガニスタンの戦場で敵の攻撃に遭い、不時着したところをゲリラに襲撃されてしまう。ゲリラに追われ怪しい施設に逃げ込むが、そこには旧ソ連が開発していた謎の怪物が大量に眠っていた。


予告編

感想




私の大好きな「ディセント」の監督ニール・マーシャルによる新作モンスターホラーアクション。この15年くらい彼の名前を見てなかったので本作もただのパチモンなのかと思ってましたが、そうではないと知り大いに期待していました。



内容的には戦場で落ちこぼれ兵士のチームが得体の知れないモンスターと戦う羽目になる…ということで、同監督の「ドッグ・ソルジャー」にかなり近いノリかなと。それでいて前半のヒロインの活躍は「ドゥームズデイ」を思わせるし(ジャケも)、地下深くでモンスターと遭遇するあたりは「ディセント」風味。ニール・マーシャルの集大成という感じでファンにはうれしい内容。ただ、既視感だらけで新しい要素はほとんど何もなかったので、時代遅れの二番煎じにも見えてしまうのが問題か。まあニール・マーシャルもしばらくこういうのは撮ってなかったのでリハビリ的な面もあったのかもしれません。



モンスターもリッカーみたいな着ぐるみを着た人間で創造主も旧ソ連軍とあまりひねりがなく、プレーンすぎてどうもやっつけ感が漂います。人間の精神を読み取る能力はあってもそんなに活用されてもいなかった気がするし。解剖のシーンで「**の臓器と一緒だ…!」と驚かれてもその正体は普通に定番すぎて反応に困ります。あと、グロもニール・マーシャルにしては控えめで物足りないかな。そこらへんでもっと個性を出してくれないと、どうも薄味に感じてしまいます。



そういう不満点はあるものの、アクション・戦闘シーンについては質量ともに文句なしのクオリティ。クリーチャーとの戦いをこれだけ激しくテンポよく展開して楽しませてくれるホラーアクション映画は滅多に出てきません。もし何も知らずに午後ローで出会っていたら歓喜するレベルでしょう。普段からこのジャンルの映画を漁りまくっている人間としてはそこは強調しておきたい。「ドッグ・ソルジャー」の時のように暗くて見えにくいこともなく、満足度は非常に高いです。



また、キャラクター的には英国軍人が米軍に混じるチームの中、さらにアフガン兵もちゃんと味方に加わるのが良かったですね。普通のアメリカ映画では絶対やらなさそうだし。この手のジャンルでは人間同士のいがみ合いを必要以上に盛り込んでしまいつまらなくなる作品も多い中、敵の捕虜であろうが一致団結して立ち向かうという姿勢を明確に打ち出してくれる方が観る側としては余計なストレスがなくてありがたい。



ということで独自性にはやや欠けるものの、手堅くまとまった良質な作品でした。



「ヘル・ディセント」(Amazon Prime Video)


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