「ダーク・パスト 不確かな正義」 感想 不確かな脚本

概要

原題:BURIED SECRET

製作:2014年カナダ

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:モニカ・ミッチェル

出演:サラ・サンガン・カーター/ダン・ペイン/ティーチ・グラント


シングルマザーのサラは「不確かな正義」という作品でミステリー作家としてデビュー。いきなり大ヒットを飛ばすが、その内容が刑事時代のリアル事件を元にしているのではないかと叩かれ始める。一方、市長選挙を控えた現市長はその件に目を付け、サラを汚職刑事だと便乗叩きすることで自らのPR活動としていた。そんな中、サラに謎の怪しい男が迫ってきて…


予告編


予告編はなし。

感想



アマプラ配信の新作サスペンス・スリラー。

この手のテレビ映画の中では比較的質が高い(はず)のDARO作品。





アマプラで謎映画を見損ねてガッカリしていた私にアマプラ謎映画当たり屋仲間のjetさんが優しく「トラウマ・ゲーム」「デストイレ ファイナル」と並べてオススメしてくれただけあって、なかなか高威力の地雷でした。好事家的にはある意味楽しめるからいいですが、真面目に観てたらビックリするほど酷い作品です。



主人公サラは刑事をやめてミステリー作家としてデビューしたてのシングルマザー。

DARO、ReelOneでは毎度おなじみな属性ですが、本作のサラは意外にもセレブではありません。それほど大きくない普通の家に住み、車はなんと日産ノート。DARO、ReelOneのテレビ映画でこんな貧乏な主人公は初めて見ました。だから何だと言われても別に何もないけど。



デビュー作がヒットしてサイン会に引っ張りダコになるほどの人気作家になれたのは良かったものの、そのミステリー小説の内容が実際に起こった事件と酷似しており、しかもサラが刑事時代最後に担当していた事件と知れて世間は大騒ぎに。しまいには市長までもが選挙対策のためにサラと著作を叩きまくってしまう。それ対策になるの?



牛乳に漂白剤を入れて飲ませて殺したなんて手法のどこにそんなオリジナリティがあるのかよく分かりません。とりあえずそんな紛らわしい小説を書くなとは言いたい。作家は何も知らずに書いたのに実際の事件に酷似していた!なんて筋のサスペンスはわりとよくありますが、サラは実際の事件を知ってて書いているのでそれなりの説明責任は生じると思うんですよ。



ただ本作はそれより細かいところにアラがありすぎてハァ?となるシーンの連打で本筋がどうでも良くなってきます。例えば、疑われたサラが警察に協力しようと署長の元へ情報提供しに出向く場面。署長とは犬猿の仲なのでハメられないよう弁護士を伴って行くのですが、なぜか速攻で「署長と2人きりにして」などと言って弁護士を追い出し、さぞかし重要な話でもするのかと思いきやただケンカを売るだけで即終了するっていう。



一体何のために来たのか。何のために弁護士を連れてきたのか。署長はサラに対し「そのお人好しをやめなさい」と諭していましたが、あの攻撃的で自己中な彼女のどこらへんにお人好し要素があったのか。まるでわからん。いくらなんでも意味不明すぎます。



そんな本作の中でもクライマックスは特にすごい。署長は遊びに行っただけのサラの娘をすでに誘拐されたものとして無線を飛ばすし、市長は「悪い本を排除せよ!」などと叫んでサラの著作をゴミ箱に放り投げるし、サラの娘はなぜか市長のヘイト演説を聞きに来てるし、サラが追っていた犯人の男は何もせずに駐車車両に体当たりして勝手に自滅するし、サラはただそいつを問い詰めただけで全く何もしてない。劇伴だけ勝手に盛り上がってるだけで、内容的には何がどうクライマックスなのか全く分かりません。オチの付け方も理解不能です。



マダム向けサスペンスは数あれど、ここまで取っ散らかってツッコミどころ満載の作品はそうはないですよ。いくらなんでもこれは北米の奥様方も「なあにこれ、ワケわかんないわねえ」とつぶやきながらチャンネルを替えざるを得なかったのではないか。そんな風に思いました。



「ダーク・パスト 不確かな正義」(Amazon Prime Video)



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