概要
原題:Implanted
製作:2021年アメリカ
発売:エクリプス
監督:ファビエン・デュフィリス
出演:ミシェル・ジロラミ/スーザン・オドハティ/アイボ・ベロン
失業しホームレスになったサラは、2万ドルに目がくらんである医療会社の治験を受けることに。それは背中にAI搭載チップを埋め込んで健康管理してもらうというものだった。だが、そのAIは健康管理どころかサラに苦痛を与え、次々と殺人を指示してくる。
予告編
感想
エクリプス配給のビミョーなインディーズ映画。
ここは相変わらずどこかいい加減で公式サイトのタイトルすら間違っており(「AI崩壊」になってる)、大丈夫なのか心配になってきます。
内容は金に釣られてAI搭載チップ”レックス”を背中に埋め込んだホームレスのサラがひたすらレックスにイジメられまくり、やりたくもない殺人を無理強いされるというもの。
普通この手のSFサスペンスのAIは、序盤ではまともに動いて主人公とうまくやるものの徐々に狂ってくる…みたいな展開にするのが定番です。が、本作のレックスは初っ端から「あいつを殺せ、次はそいつを殺せ、逆らったら激痛な」と健康管理とは関係ない目的に向かってアクセル全開です。ちょっとくらい便利な所を見せてくれてもいいような気が。
これにはただの無力なホームレスであるサラも全く抵抗できず、嫌々苦しみながら黙って言うことを聞くほかない。反撃の切っ掛けもくそもなく、最初から最後まで非常に陰鬱な雰囲気です。
…で、本当にそれだけなので特に面白がれる部分がない。これは痛い。普通ならサラを追う警察の視点を入れるとか、サラに狙われている側の視点を入れるとかしてサスペンスを盛り上げるものですが、そんなもん何一つありません。ただただサラがのたうち回ったり人を殺しているだけ。やる時も不意打ちが全部決まるのでやられる側は全然抵抗できず、スリルを感じられる要素が全く無い。
ひたすら「AIこええ!AIいくない!」という警鐘を全力で鳴らしている作品と言えます。どんだけAIを恐れているのか。製作が2021年なのでその後チャットGPTが公開された時、製作者はアワを吹いて倒れたことでしょう。私としては早いところAIが全部仕事を肩代わりしてくれて人間は遊んで暮らせる世の中になって欲しいと願ってるんですが。
しかしレックスはあまりに健康管理とは程遠いAIなので、AIが狂ったというよりそんな粗悪品を作った人間が悪いとしか思えないんですよね。これも観ている間意識を保つのに苦労する作品でした。
「インプランテッド AI暴走」(Amazon Prime Video)
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