「クリフ・サバイバー」 感想 森の暗がりに潜む者

概要

原題:DARK NATURE

製作:2022年カナダ

発売:ニューセレクト

監督:バークレー・ブレイディ

出演:ハンナ・エミリー・アンダーソン/マディソン・ウォルシュ/ロザンヌ・サパノー/ダニエル・スミス・アーノルド


彼氏に暴力を振るわれ、飼い犬まで殺されたトラウマを抱えて苦しんでいたジョイ。友人のカルメンの誘いで人里離れた山奥でのセラピートレッキングに参加することに。苦しみを抱えた者同士で大自然に心身を浸すが、ジョイはそこでもDV彼氏のフラッシュバックに悩まされる。そんな不穏な気配が漂う中、その森に潜む恐ろしい何者かが現れ…。


予告編

感想




「登山者を拒絶する、切り立った断崖」

「非情な山岳を舞台に繰り広げられる、クライミング・サバイバル・スリラー!!!!」



邦題的には「クリフ・ハンガー」のパチモンっぽいけど今更すぎるし、トラウマを抱えた女性が切り立った断崖をクライミングしてたら恐ろしい目に遭うってことは「FALL」の便乗作品かな?


…と思ったんだけど、別に断崖とか出てこないしロッククライミングなんて一切してねぇ!!森を歩いてるだけだこれ!よく見るとジャケ絵の女も本編の主役とは別人です。

久々にホームラン級の詐欺ジャケを見ました。



それはさておき、セラピー目的で森や洞窟を歩いてたらそこに棲んでる怪物に襲われる、というのはホラーではわりとよく見る話です。有名どころでは「ディセント」とか。



ただ本作は主人公ジョイの抱えるDV彼氏のトラウマがやけにじっくり丁寧に描かれ、森に入ってからもフラッシュバックに悩んだり何となく不穏な気配を感じたりといった地味な描写・展開に過大な尺が割かれています。具体的に言うと85分くらいの作品なのに森のモンスターが現れるのは大体60分近くも経ってからというスロースターターぶり。



得体の知れない土地で不安がるジョイに対し、セラピストのリーダーが「ここは安全よ」と断言しているところはちょっと気になりました。安心させるために言ってるにせよ、基本的に山とか森で安全を保障できるわけないんですよ。なんせウチの近所ですら飢えたヒグマがたびたび徘徊しているのだから、カナダの山岳地帯など危険の宝庫でしょう。山や森へ入るならそれを認識したうえでないといけません。まあさすがに本作のようなモンスターはいないでしょうが。



そのモンスターも散々引っ張ったわりにはちょっと微妙。武装を失い、遭難して痩せ細ったプレデターみたいな感じ。そして当然のように何者なのか明かされることはなく、かろうじて先住民族と何らかの関係があるっぽいことがラストの字幕で示唆されるのみ。めっちゃ弱いし。まあ、ジョイのトラウマに決着が付けばいいのか。



ホラーとしては地味で静かすぎるけども、一応それなりにモンスターパニックはしてたし人間ドラマ的にもそんなに悪くはなく、そこそこは楽しめました。



「クリフ・サバイバー」(Amazon Prime Video)


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