「恐怖の幻想」 感想 妄想か、幻影か

概要

原題:Burga/Deadly Visions

製作:2023年スペイン・カナダ

配信:A Poco A Poco Producciones

監督:アルフレド・コントレラス

出演:メルセ・ロレンス/フェデ・アロンソ/フェルナンド・エステソ/ミゲル・モリーナ


精神病院のベッドで目覚めた女性エレナ。彼女は記憶を失っており、健忘症と統合失調症を患っているので治療中であると言われる。夜になると壁から現れる怪物、そして自分の父親が病院の所有者であるという事実は何を意味するのか。エレナは病院から脱走し真実を探ろうとするが…


予告編


感想



スペイン産のテレビ映画。

実際にあった事件を基にしているとか。





いやー、ものすごくマニアックな物件ですね。

ポコポコプロダクションみたいな変わった名前のスペインの製作元が自動翻訳で日本語字幕を付けてプライムビデオ配信。こういう極めて安上がりな配信形態が一般化した現代だからこそ、観られるようになった作品と言えます。



内容の方は、精神病院で目覚めた記憶喪失の女性エレナが夜な夜な怪物や殺人鬼の幻覚を見たり、父親が病院の所有者と知って何らかの陰謀が働いているのではないかと疑ったり、逃げ出そうとして捕まって拷問されたりする幻覚系サスペンス・スリラーとなっております。



看護師もやたら高圧的で大量に怪しいクスリを投入してくる恐ろしい環境。もちろん今どきそんな精神病院があるはずもなく、1960年代ぐらいの時代設定。その頃の精神病院は閉鎖的な環境で密かに治療と称した非人道的な扱いをしていたところもあったイメージ。そんなただでさえやばい施設で怪物や殺人鬼の幻想が浸食してくる映像はなかなかの恐怖感を醸し出しています。



副院長や看護師が、病院の後継者である自分を抹殺しようとしているのではないか。超自然現象だけでなく生きた人間の恐怖もあり、患者の中から協力者を探して脱走を企てる展開もスリリング。幻想ホラーと脱獄サスペンスの複合、一粒で二度おいしい感。展開は遅くてちょっと怠いんですが、アマプラ謎映画としては充分秀逸な部類です。



ただ、幻覚モノでサスペンスだとわりと何でもありになってしまうのがちょっと。健忘症と統合失調症持ちであるエレナの主観は元から信用できないので、あのオチもそれほど意外性はなかったです。確かに最近あまり見なくなったネタではありますが。



「恐怖の幻想」(Amazon Prime Video)


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