「サンクスギビング」 感想 狂気のワッフルメーカー争奪戦

概要

原題:Thanksgiving

製作:2023年アメリカ

配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント

監督:イーライ・ロス

出演:パトリック・デンプシー/ネル・ヴェルラーク/アディソン・レイ/ジェイレン・トーマス・ブルックス/マイロ・マンハイム/リック・ホフマン/ジーナ・ガーション


感謝祭の日。マサチューセッツ州プリマスにあるライトマートでは、ブラックフライデーセールを目前に控えていた。先着100名限定のワッフルメーカーを狙い、町の人々が押し寄せ殺気立つ中、開店前に経営者の娘が友人たちを連れて先に店へ入ってしまう。それをきっかけに客が一気に殺到し、多数の死傷者が出る惨劇にまで発展してしまう。


それから1年後、暴動に関わった人物がジョン・カーヴァーの仮面をした男に次々と殺されていく事件が起こる…


予告編

感想




イーライ・ロス監督の新作ホラー映画。

感謝祭の日に起こった惨劇と、それに関わった人々が復讐されていく話。


冒頭の惨劇以外はひと昔ふた昔も前に量産されていたような古臭い筋書きのスラッシャーものですが、さすがこの監督だけあって非常にクオリティが高いです。やや長尺ながらもバリエーション豊かな殺人を魅せてくれてダレることなく楽しめました。何より冒頭のスーパーマーケットで起こる惨劇が面白すぎてたまりません。



アメリカの感謝祭は全く馴染みのない習慣ですが、それに合わせて行われるブラックフライデーセールは日本でも定着しつつあります。と言ってもボーナス前だしそんなに金使わんよなあ…使ったとしても需要の先食いじゃないのかな…と毎回思っているんですが。



本場アメリカでは当然そんなことはないようで、本作ではセールの開店直前に群がる群衆がとてつもない購買意欲と狂気に満ち満ちています。映画だからメチャクチャ大袈裟にしてるんだろうなと思ったけど、youtubeで向こうの様子を見てみると現実とそう大差ないようです。アメリカ人はそんなにもバーゲンセール大好きだったのか。



目を血走らせた客たちの視線の先にある目玉商品が「ワッフルメーカー」っていうのは、そんないきすぎた消費社会を皮肉ってあえてくそつまらないものにしているんでしょうね。どう考えてもそんなのいらんし。そんなゴミですらお得だと煽られると殺到してしまう群衆の愚かさと来たらね。



しかもそんな狂気の群衆を前に堂々と身内特権を使い、優越感丸出しで先に入店して調子こきまくってしまう主人公たち高校生グループも非常にタチが悪い。そこらへんはSNS社会のマウント合戦を皮肉っているのか。とにかくこの作品、基本的にバカとクズしか出てきません。



だが、それがいい。バカとクズ共が面白おかしく惨殺されていくスラッシャー映画ほど心に優しく染み渡るものはないからです。デストランポリンとオーブン丸焼きが特に印象的で良かったなあ。顔面を鉄柱で貫かれたじいさんもなかなかでしたね。犯人当てについては怪しい奴出しまくりなうえに後から考えると無理がありまくるので納得は行きませんが、まあそんな些細なことはどうでもいいかと思える快作でした。




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