概要
原題:Trunk:Locked In
製作:2024年ドイツ
配信:Amazon Studios
監督:マルク・シーサー
出演:シーナ・マルテンス/アルチョム・ギルツ/ルイーゼ・ヘルム
医学生のマリーナは車のトランクの中で目を覚ました。彼女は何が起こったのか記憶を失くしていたうえ、足の感覚もなかった。だが、失くしていたのはそれだけではなかった。スマホは持っていたので家族や警察に電話をかけるが、そう簡単に救助は来そうもなく…
予告編
感想
アマゾンスタジオ提供によるドイツ製ワンシチュエーションスリラー。
96分間、舞台はほぼ車のトランクの中だけ。
あまりに空間を限定しすぎると面白さも限定されてしまう感はありますが、本作は狭いなりにも映像的には地味になりすぎないよう工夫を凝らされており、主演の人の熱い演技もあってそこそこ楽しめる出来でした。ただ、突っ込みどころもわりとあった印象。
主人公マリーナは金持ちの医学生で、何者かに誘拐されて車のトランクの中に押し込められているという状況。
それ自体は至極常識的な設定なんですが、マリーナが充電たっぷりのスマホを普通に所持しているのはおかしい。犯人は「麻酔したのに目を覚ますとは…」みたいなことを言ってましたが、だとしてもスマホぐらい取り上げるでしょう普通は。人間を誘拐して運ぶ時にそこを外すアホがいるわけがない。拘束もしてないわけだし。
そのうえマリーナはまず妹と電話して状況を説明し、信じてもらえず「通報してよ!」と激昂。自分ですればいいだけなのに。何か出来ない理由でもあるのか。と思ってたら結局自分で通報するわけですが、堂々とスピーカーフォンにして大声でしゃべりまくりなわりには運転しているであろう犯人に全然バレない。
もう知ってて放置されてるとしか思えません。これもひとつの伏線なのか。それともめちゃくちゃ防音がしっかりしている高級セダンなのか。でもうるさい時は「黙れ!」と怒られていたので、そういうわけでもないようです。どう見ても古いボロ車でしたしね。
そのうえ、ご丁寧にマリーナを車に乗せるシーンを撮影したデジカメがトランクに積まれており、その映像で意外な共犯者も判明。なんでそんなものが都合よくトランク内に存在するのか。この辺、主人公の手の届くところに手掛かりを配置しておかねばならない限定空間スリラーの限界を感じます。
そういう突っ込みどころはさておき、マリーナの腎臓が抜かれていると判明するあたりはなかなかスリリングで痛々しくて良いです。ドイツ製だけあってグロには気合いが入っています。指先にガラスが刺さる場面も妙にリアルで痛々しく、人体や車に関しての描写は細部にこだわりを感じられます。
彼女は身代金を要求されているだけでなく、臓器売買の犠牲者でもあるのか。腹の傷の処置は雑な感じで、トランクから脱出すればいいだけではなく、失血死も防がなくてはならない。
マリーナは「3.5リットルまでなら意識は持つ」と言ってましたが、さすがにそれは血の気が多すぎると思うんですがどうなんでしょうか。ぶっとい靴ヒモで傷口を縫うぐらいタフだったので、本当にそれぐらい出血しても平気なニンゲンだったのかもしれませんが、私なら確実に死んでます。いや、それぐらいタフな女性でなければあんな絶望的状況からの生還は果たせないと言いたいのかもしれない。あの状況ですぐにだめだこりゃと意識を失っていたら何も始まらないのです。今日はそんな風に思いました。
「トランク~走る密室~」(Amazon Prime Video)
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