概要
原題:狂虎危城
製作:2022年中国
発売:アットエンタテイメント
監督:リウ・ウェンプー
出演:シェー・ミャオ/ホン・ジャーニン/ジン・イェンチャオ
明の時代、腐敗した宦官に仕える医者が大量のトラを集め、不老不死の秘薬を精製しようとしていた。だが、外法で体が腐り狂暴化したトラたちが徒党を組み、次々と人を襲い始める。
予告編
感想
中国産武侠アクション時代劇×アニマルパニック。
中国産のモンパニは大抵それなりに金がかけられているものの血の匂いは一切せず、人間ドラマ的にも浅くて画一的な傾向があるので最近はスルーしていたのですが、ゾンビタイガーとくれば見逃すわけにもいきますまい。
画一的と言っても今回はいつものように父親が娘を探してどっかの島へ行くという現代劇ではなく、明の時代を舞台としているためそれなりに新鮮味があります。いや別に明王朝ものがそれほど珍しいわけではないでしょうけども私は普段そういうのを全く観ないので。
それでもやっぱり、尺が76分しかないのもあってストーリーは非常に淡泊で人物描写も浅い。誰が生き残って誰が死のうが別にどうでもいい奴しかいないし、死臭も悲惨さも完全にゼロで緊張感もくそもない。この辺のぬるいムードは全く持っていつも通りの中国産です。クライマックスでスローモーションにしつつまったりしたボーカル曲を流してお涙頂戴に走るのはやめてほしい。
しかし…金だけはどえらくかかっているように見えますね。美術もセットもやたら豪勢で驚かされます。これ日本ではDVDスルーのB級映画扱いだけど、中国ではちゃんと劇場公開されてるんじゃないですかね。トラのCGはアサイラムに毛が生えたくらいですが、とにかく大量に出てくるしよく動きます。少なくともトラが人間を襲う絵面はお腹いっぱい見せてもらえる、この出し惜しみのなさは素晴らしい。アサイラムにも見習ってほしいくらいです。
ところで私は本作を吹き替えで見ていたんですが、トラを集めて不老不死の薬を作ろうと企む医者が偉そうな宦官に
「トラは大いなる陽の力を秘めており、それを特殊な方法で精製するとキンタ〇ができます」
とか言い出した時はちょっと耳を疑いました。
キンタ…何?
キンタマって言った?
宦官にキンタマを献上するなんてイヤミを言ったら処刑されてしまうのではないか。
その後なんやかんやあって主人公の剣士がトラのキンタマを手に入れます。
それを知ったボスっぽい宦官に
「分かっているだろう、銃弾とキンタマを交換しろ」
「さっさとキンタマをよこせ!」
などと事あるごとに脅迫されながら追われることになるんですが、キンタマを欲しがる宦官という笑っていいのか憐れむべきなのかよく分からないキャラクターに気を取られすぎてどうも肝心のゾンビタイガーの脅威が薄れてしまったような気がします。
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まあ、字幕で確認してみたらキンタマじゃなくて金丹だったんですがね。
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