概要
原題:TALK TO ME
製作:2022年オーストラリア
配給:GAGA
監督:ダニー・フィリッポウ/マイケル・フィリッポウ
出演:ソフィー・ワイルド/アレクサンドラ・ジェンセン/ジョー・バード/オーティス・ダンジ
母親を亡くし、心を病んだミアは寂しさから友人であるジェイドの家に入り浸っていた。そんな折、友人たちの間で流行している”90秒憑依チャレンジ”に参加することに。それは呪物に触れることで90秒間だけその辺の霊魂を体内に取り込むという危険なゲームだった。
予告編
感想
昨年末に公開されていたオーストラリア製のホラー映画。
年末は忙しいので観に行けませんでしたが、最近はレンタルに回ってくるのがえらい早くなりましたね。
内容は、バカな若者グループが遊び半分で危険な交霊儀式をしてしまいえらい目に…という話ながら、よくある軽い見世物ホラーとは全然違いました。これは大した人も死なないのに雰囲気は悲痛で激重です。
まあ、遊ぶためだけにその辺の霊魂を無差別に体内に取り込んで騒いでいるのはバカと言えばバカですが。ミアはメンタル病み気味でとにかく人とつながろうとしており、そんなゲームにもホイホイ志願してしまう。
しかし霊魂憑依となると酒やドラッグよりも危険度がだいぶ高い。取り込んでも呼吸困難になったりブルドッグとディープキスする羽目になったりするだけで何がそんなに楽しいのか全く分かりません。しかしまあ深酒やドラッグにも自傷行為的な感覚はあるので憑依チャレンジもその延長線上にあるとは言えます。メタファーというにはストレートすぎる。
なので、母親を複雑な事情で亡くしたことをきっかけに悪い遊びに加わって道を踏み外していく流れは憑依チャレンジ云々関係なく普遍的なものを感じます。
ミアは悪霊のささやきを真に受け愚かな選択を繰り返し孤立していきますが、メンタルを病んだ子供だと思うと仕方なくもありひたすら気の毒に見えます。騙してくるのが人か霊かってだけで。怖いかと言えば別にそれほどではないんですが、ムゴい目に遭うのが子供なので痛々しさはなかなか際立っています。あのよそ様の子供に大ケガさせた時のやっちまった感、いたたまれなさが実にリアルでキツイ。
ただ、前述の通り大して死人は出ないのでなんかそういうティーンの神経の過敏なところをチクチクつついてくる極めて上品で繊細な厭らしさを持つ作品だと感じられました。
なので私のような腐れ好事家がテンション上げて面白がれるタイプのホラー映画ではなく。ひたすら鬱々とした胸糞悪い気分で鑑賞していたのですが、ラストシーンの切れ味の良さにはちょっと感動。あんなにも綺麗で映画的にかっこいい演出ができるとは…! お話自体は最後までずっと陰鬱で悲痛なだけですが、オチの見せ方ひとつで妙にスッキリできて非常に満足しました。
「TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー」(Amazon)
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