概要
原題:Year of the Shark
製作:2022年フランス
発売:アルバトロス
監督:ルドヴィック・ブケルマ/ゾラン・ブケルマ
出演:マリナ・フォイス/カド・メラッド/ジャン=パスカル・ザディ/クリスティーヌ・ゴーティエ
フランス南西部の小さな町ラ・ポワントで、海上憲兵隊のマジャは大きなサメを目撃。ビーチの閉鎖を提言するが、地元住民の反発に遭う。それでもマジャは仲間と共にサメを捕獲するものの、檻を破って逃げられ、町民に犠牲者が出てしまう…
予告編
感想
意外にもフランス史上初というサメ映画。
昨年観に行けなかったのがずっと心残りでしたが、ようやっとレンタル配信に来てくれました。
内容は、ジョーズのフランス版小規模リメイクといった趣き。なんせストーリーのおおまかな流れがほぼ一緒です。ただ、サメの脅威自体はジョーズほど重点を置かれておらず、小さな町のサメ騒ぎによって海上憲兵隊の主人公マジャに向けられる人々の悪意の方が恐ろしいといった具合。
ということで、本作もご多分に漏れずサメの出番は少ないです。出てくるサメも一昔前のド定番だったオオメジロザメ。こいつは湖や川でも活動できるからこそ多用されたのに、今回は別に淡水でもないのに引っ張り出されるのは逆に珍しい。地球温暖化の影響で普段出ない海域に出るようになってしまう…という点ではリアリティがあると言えばあるのか。
先日など宮崎市の川でオオメジロザメが釣れたというニュースもありましたからね。これは私の職場でも話題になり、サメ素人の同僚共は「サメって川にも出るの!?」と驚いておりましたので、そんなことも知らんのかとオオメジロザメの生態とサメ映画業界での役割について小一時間ほど語ってあげました。多分次の日には忘れているでしょう。
まあそれはともかく、大きさは5mほどしかなく普通に海を泳ぐしか能がない極めて平凡なサメなので、パニック映画的には非常に寂しい。一応クライマックスでは水中での対決があるものの、特に盛り上がりはなく至極あっさりしたもの。
フランス製なので、エスプリが効いている…のはそうかもしれません。意識の高い皮肉がそこかしこに散りばめられています。オオメジロザメが出るようになった原因の環境問題や、一度はサメを捕らえたのに殺すことができなかったせいで余計被害が広がってしまう過剰な動物愛護の問題、パリから押し寄せる悪質な観光客等々。
「チョコクロワッサンをパン・オ・ショコラとか言いやがって…そんな奴らがやりたい放題だ」
アニマルパニック的にはさほどの面白味も興奮もありませんでしたが、他国の粗っぽいサメ映画とは違う繊細なムードを楽しむべき作品かなと思いました。
「シャーク・ド・フランス」(Amazon Prime Video)
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