「エミュレーション 超体験」 感想 夢の世界で生きるゲッティ

概要

原題:Emulation

製作:2010年アメリカ

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督・脚本・出演・編集:トム・ゲッティ


孤独で人生に退屈していた男のもとに、“お気に入りの映画を体験しませんか”と届いた、ある会社からの招待状。だがそれは、ジェットコースター級の窮地に陥る非日常の幕開けだった…!体験プログラムの指示に従って行動していた彼が直面したのは現実の殺人現場。男は有名ゴルファー殺害の容疑者として一躍時の人となる。これは台本に沿ったプログラムなのか、はたまた現実なのか?それとも陰謀に巻き込まれてしまったのか?娯楽的一夜を過ごすはずが、人生を賭けた闘いへと導かれていくサスペンス・スリラー!自身の力ではどうにもならない状況や、狂気の中に放り込まれた平凡な男の結末とは一体?平凡な男が仕掛けられた卑劣な罠の裏に迫る驚愕のサスペンス・スリラー!

(↑アマゾンより)


予告編

感想



「ライジング・フィアー」(2016)のワンマン映画っぷりが少しだけ印象に残っていたトム・ゲッティ氏の新作がアマプラで配信されたので見てみました。本作も監督・脚本・主演・編集のひとり4役をこなしているようです。ただ、実際は新作ではなく2010年製作の長編デビュー作のようですが。



内容は、好きな映画を追体験するエミュレーション社の新しいサービスを押し売りされて仕方なく参加してみたところ、本物の殺人犯に仕立て上げられお尋ね者になってしまう。これは現実か!?それともやっぱりエミュレーションなのか!?というもの。



「ライジング・フィアー」は極低予算インディーズアクション映画としては一応それなりに観られなくもなかったものの、その6年も前に製作された本作はさすがに色々と稚拙すぎて厳しい。



 というかこれ、トム・ゲッティ君が大学のサークルで作った学生映画だと考えられます。ゲッティ君めっちゃ若いし、FBIのエージェントとかも若いというか童顔すぎる。大学1~2年生ぐらいかな? こんなもんまで引っ張り出してきて金取って配信するトランスワールドアソシエイツの商魂逞しさに感心してしまう。



「ダイ・ハード」や「マトリックス」「逃亡者」「マクガイバー」「ファイトクラブ」などゲッティ君が大好きなアクション映画やドラマのオマージュや引用がそこかしこにちりばめられ、本筋はフィンチャーの「ゲーム」からいただく。映画おたくによる映画おたくのための学生サークル映画といった趣き。



それはいいけど、序盤でゲッティ君が殺人現場に居合わせて捕まり、FBIの取り調べを受けていたのになぜかヌルッと脱出できてしまうくだりはかなり意味不明です。この掴みはいかがなものか。まあ学生みたいな風貌のFBIだし、それがエミュレーションだとすればわざと逃がしたという伏線と受け取れなくもありませんが。



その後のカーチェイスだけは頑張っている感はあるんですよ。学生サークルが撮っていると思えばかなりの危険運転っぷり。クラッシュシーンも一応ありますからね。これが大学の課題ならA+がもらえても全然おかしくはない。海の向こうのクソ映画マニアから299円とれるかはちょっと怪しいけども。



しかし後半はアクションもなくなり、グダグダどうでもいい会話をしているだけなのでかなりぐったりしてました。

が、陰謀が明らかになった時のゲッティ君と黒幕との会話はちょっと面白い。



ゲッティ「なぜ僕を選んだ?」


黒幕「自然と人をひきつける人物が必要だった」



おいおいゲッティさんそれは自画自賛が過ぎるのでは…!?

と思わせてからのこれ。





黒幕「夢の世界に生きる幼い人がね!」




いや、何もそこまで自虐しなくても…




「エミュレーション 超体験」(Amazon Prime Video)



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