「帰ってきたエクソシスト・シャーク」 感想 白ワインが飲みたくて

概要

原題:Shark Exorcist 2: Unholy Waters

製作:2024年アメリカ

発売:コンマビジョン

監督:ドナルド・ファーマー

出演:エンジェル・ニコール・ブラッドフォード他


あらすじ:わからん


予告編

感想


そのあまりに常軌を逸した悪魔的難解さが日本の好事家に大受けし、悪魔鮫崇拝カルト集団を形成するまでに至ったカリスマ的クソサメホームビデオ「エクソシスト・シャーク」、通称クソシャが9年の時を経てまさかのご帰宅。しかも無駄にブルーレイで発売。映像は大変綺麗でした。世の中何が起きるか分からないもんですな。



そしてオープニングクレジットに散見される日本人名。彼らがドナルド・ファーマーに資金提供してくれたおかげでこのような禍々しい悪魔鮫の顕現を許してしまった模様。なんと常軌を逸した異常鮫愛者たちなのか。2月頃にはわざわざ東京に出演者を呼んで応援上映会まで催されていたとか。いかれてやがると言う他ございません(行ってみたかった…)。



内容の方ですが、ストーリーに関しては前作同様あまりに難解すぎて解読には数年の時を要すると考えられます。一応冒頭では悪魔的シスターが湖に悪魔鮫が出るようになったいきさつを語ってイケニエを捧げたりしており、その辺だけは意外とマトモなような気がしないでもなかったんですが最初だけです。



資金提供の成果で悪魔鮫のクオリティは劇的にパワーアップ。悪魔鮫が出るたびに同じ映像を使い回していた前作と違い、本作は毎回違う角度と動きで美しい悪魔鮫の遊泳を楽しめます。しかも人間を食いちぎるシーンも二度三度と拝ませてもらえる。ここだけは素直に賞賛できます。あの悪魔的テーマ曲も聞き苦しくない程度にアレンジされており、不快感の軽減に貢献。



とはいえ、何の脈絡もなく出てきた百合カップルがジップラインで遊び始めるあたりから急に雲行きが怪しくなり、そのまま二度と晴れることはありません。何やかんやで片割れが悪魔鮫に食われてしまい、傷心の片割れが水族館で彷徨うくだりの無意味な長さはクソシャシリーズ独特のノリ。また邪教徒が魅了されてしまう。



そこでは可愛いペンギンや美しいクラゲの映像を延々と拝ませてもらえます。本物のサメも映るしお得ですね。もちろんお土産コーナーでサメのぬいぐるみを物色するシーンも欠かせない。アメリカではわりとどこでも売ってんのかな。それとも1と同じ店かな。



そこまではまあいいとしても、やたら豊満なボディをお持ちのパーティダンサーが何の脈絡もなく出てきてやけに熱心に下着を選び始める場面の冗長さがたまらない。全く何の意味もない。それでこそクソシャだなとは思うけども。彼女が防犯スプレーで自爆した彼氏を放置してお客とゲームして遊ぶくだりも途方もなく長い。クソサメホームビデオにおける尺稼ぎの何たるかをじっくり学ばせてもらえます。



そこまではまだいいんですが(よくないが)、彼女がショッピングモールでワインを物色するシーンの長さ、無意味さがマジで異様。尺稼ぎを超えた尺稼ぎ。ポロニアやケリーとはまた一味違う虚無の世界。






「私は白ワインが飲みたいの」


本作を象徴するセリフのようにすら思えてくる。

本当にただ素で買い物してるだけなので、揶揄でも何でもなく単なる普通のホームビデオに見えてくる。というかそういう目で観た方がむしろ面白い気がしてくる。「へぇ~アメリカのスーパーの酒売り場ってこんな感じなのか~」…っていう。



今まで色んなZ級映画を観てきたけど、ここまでリアルなホームビデオ感あふれるクソサメホームビデオは初めてかもしれません。



クライマックスは百合カップルの生き残りとパーティダンサーの時空を超えた会話シーンが見どころか。なんで一緒に撮れなかったんですかね。



しかし本作、クソシャを構成する大事な要素が丸々ひとつ欠けており、その点では邪教徒たちは若干の物足りなさを覚えたと考えられます。それはゲロを吐くシーンです。前作ではあれだけゲロまみれだったのに本作では全く吐かない。何がドナルド・ファーマーを浄化させてしまったのか。本作最大の考察ポイントと言えるでしょう。私はしませんが。




最後に、ジャケ裏には本編70分と書いてあるのに実際は78分あったことだけは言っておきたい。残りあと10分くらいか~?と思ってシークバーを確認した時の衝撃ときたらね。まあ前作超えのインパクトとまではいきませんでしたが、クソサメホームビデオの深淵には違いない。前作と共に後世まで語り継がれていくことでしょう。





コメント