「クワイエット・プレイス:DAY1」 感想 モンスターパニック × 終活ドラマ

概要

原題:A Quiet Place: Day One

製作:2024年アメリカ

配給:東和ピクチャーズ

監督:マイケル・サルノスキ

出演:ルピタ・ニョンゴ/ジョセフ・クイン/アレックス・ウルフ/ジャイモン・フンスー


音を立てると即座に襲い掛かってくるエイリアンの群れがニューヨークに襲来。癌で余命いくばくもないサミラは介護猫フロドを抱えながら何とか最初の襲撃を生き延びる。エイリアンの弱点が泳げないことだと分かり、残った人々が船で避難していく中、サミラは亡き父との思い出の場所を目指していく。


予告編

感想



クワイエット・プレイスシリーズ三作目にして音に敏感なエイリアンが初めて地球に襲来してきた時を描く前日譚。

…ということしか知らずに見に行ったので、主人公が末期癌で余命幾ばくもない詩人と分かった時は意表を突かれました。



モンスターパニックなのに主人公の目的が「生き延びたい」ではなく、「死ぬ前に思い出の店でピザを食べたい」というのは斬新です。今までそんなモンパニ映画は見たことがない。そのうえ職業:詩人とあってかそこはかとなく詩的な雰囲気もあり、監督は「PIG/ピッグ」のマイケル・サルノスキだしで終活ヒューマンドラマとしての側面が色濃い。



しかし…モンスターパニックに余命僅かのお涙頂戴モノを組み合わせるのは確かに斬新とはいえ、それは例えるなら実戦空手にブーメランを組み合わせた全く新しい格闘技のようなものではないか?という気がします。



個人的には「PIG/ピッグ」は何が面白いのか全然分からなかったので不安でしたが、本作はちゃんとスリリングなエイリアン襲撃、群衆が蹂躙されるパニックシーンもあるので楽しめることは楽しめます。総合的にはおそらくシリーズ最高の出来でしょう。



ただ、端的に言ってモンスターパニックにしては偏差値が高くてヘルシーすぎる。全然血が出ないというか人が襲われても一瞬で連れ去られるだけなのでエグ味が全然ない。米軍とのドンパチバトルも全然ない。



いや、本作のテーマ的にはそんなもん別に必要ないと言えばないんですが、やっぱりガワはモンスターパニック娯楽映画なので健康に悪くてもいいからそれくらいの脂身は欲しいというか。



とはいえこっちは「余命何年の花嫁」とか「死ぬまでにしたい13のこと」みたいなお涙頂戴ヒューマンドラマなど普段から忌避しているので全く免疫がなく、クライマックスでは危うく涙をカツアゲされそうになってしまいました。いや~~危ない危ない。突きや蹴りに気を付けていたら後頭部にブーメランが刺さったような気分。やめてよほんと。何であんなアホっぽいエイリアンが暴れる映画で、あんなにも本気で観客を感動させようとしてくるのよ。



しかも事あるごとにネコの可愛さをアピールしまくってくるので相当にあざとい映画だと思います。ネコと終活と詩人て。実際これはネコ好きにはかなり刺さると思われますので、そういう方は劇場に走るべきかと。ここだけはみんなネタバレしているので一応私も書いておきますと、ネコは無事に生き延びます。



明らかに私のようなモンパニ人喰い映画マニアではなく全然違う層に媚びを売りまくりです。そこら辺はしゃらくせぇな~気取ってねえで内臓と米軍もっと見せろよ~!とひねくれたくなりますが、まあ泣きそうになってしまった現実は否定できないので「大変良い映画だった。」とここに記しておきます。



コメント