「地下鉄シャーク(Subway Shark)」 感想 信じる者にはサメが視える

概要

原題:Subway Shark

製作:2024年アメリカ

配信:Kill The Lion Films

監督:Cody Clarke

出演:Francesca DiPaola/Ian Boyd/Cody Clarke/Chris Digi


レポーターのサラは「地下鉄のサメ」現象についての調査をするためにニューヨークの地下鉄へ乗り込み、無作為に選んだ乗客たちに次々とインタビューを試みる。本物のニューヨーカーたちは地下鉄に棲むサメについてどう考えているのだろうか?


本編

感想



「ノー・シャーク」

「インビジブル・シャーク」

のコーディー・クラークによる新作サメ出ない映画。

2013年にニューヨークの地下鉄でサメの死骸が見つかった事件が元ネタになっているとのこと。



だいぶ前に地下鉄のホームにサメが映っている画像が出回っていたので「次回作はいよいよサメが映るサメ映画を撮るんだな」と勝手に思い込んでいましたが、全くそんなことはありませんでした。一発ネタとしても狂気しか感じないこのテーマで3連コンボを決めてくるコーディー・クラーク恐るべし。



しかも本作、製作費はたったの40ドル。撮影期間もわずか3時間ばかりだそうです。Z級ってレベルじゃないぞ。ここまでローコストな映画は見たことがない。しかし、それにしては驚きの面白さ。その辺のアマプラ謎映画より遥かにエキサイティングです。



いや、地下鉄のサメに対してやけに激しい情熱を燃やしているサラとかいうレポーターがそのへんの乗客に


「地下鉄のサメについてどう思いますか?

いると思いますか?

あなたは信じますか?」


などとインタビューしていくだけの突拍子もない内容なんですがね。

この製作費、期間からするともしかして出演者はサラ以外みんな本当にただの乗客で全部アドリブだったりする…? エンドクレジットで「地下鉄は物騒だからやめとけと周囲に言われたけど、出会ったのは見知らぬ人の優しさだけでした」とか言ってるし。



私はまだノー・シャーク、インビジブル・シャークと段階を踏んで来ているのでわけが分からないながらも何となくついていけなくもないのですが、そうでないとかなり厳しい感じはします。徐々にレベルが上がってきている。コーディー・クラークはサメを映さず、サメに憑りつかれた人間の心の余白でサメを象るタイプのアーチストなのですから(適当)



本作は前作までと違い尺が48分しかなく、その分ライトな雰囲気ではあります。地下鉄に棲み付き、人目を忍んでゴミやネズミを食べている存在の地下鉄シャーク。そんなのがいたら怖いですか?いや、地下鉄をキレイにしてくれるんならエコでいいじゃないの。いや、それは地下鉄シャークじゃなくて実は私の親戚のラリーおじさんなのよ。誰だよ。



私としてはサメが映らないのであればせめてホームを疾走するラリーおじさんを目撃したかったところです。が、コーディー・クラークの中ではゴミ掃除をしているのは当然ラリーおじさんではなく地下鉄シャークなのでそれは叶いません。彼が描きたいのはいつもサメのことばかり考えている異常サメ愛者の心理からサメ映画のサメという曖昧で抽象的なイドを抉り出すことなのです。というのは適当な出まかせですが、世の中にこんなサメ映画を撮る奴がひとりぐらいいてもいいじゃないか。そんな風に思いました。



コメント

匿名 さんのコメント…
1.1億ドルをかけたマットデイモンの『ボーン・アルティメイタム』だって、
情報垂れ流そうとする記者と接触しようとした大層なシーンで
大混雑ウォータールー駅のゲリラ撮影した映像を使ってるぐらいだから、
「youtubeです!」とか適当言いながら撮った一般人なんだろうな…
岩石入道 さんの投稿…
>2024年7月8日 10:07の匿名さん

ボーンシリーズは見たことないですが、製作費1億ドル超の大作でも
ゲリラ撮影を…?
こちらはゲリラにしろ身内にしろ一般人には違いないのに
面白く出来てるのが凄いと思うんですよ。