「デイ・アフター・トゥモロー・ウォー」 感想 グアテマラ産ハイブリッドパチモン

概要

原題:The Eye and the Wall

製作:2021年グアテマラ

発売:アットエンタテイメント

監督:ハビエル・デル・シド

出演:フアン・パブロ・オリスラゲル/アルヴァロ・サゴーネ/アレックス・ラモス


全大陸での戦争と疫病の結果、”ジ・アイ”が世界を支配。だが彼らは腐敗し、貧困や死を招くと、”グレイトレディ”率いる政府が誕生した。かつてのラテンアメリカは価値なき人々が暮らし、生存者たちはレジスタンスを結成。ジ・アイは反乱の鎮圧を強化していた。そして次の標的”ガバーン・シティ”では…


予告編

感想



「デイ・アフター・トゥモロー」

「トゥモロー・ウォー」


を合体させた斬新な邦題がごく一部で話題のグアテマラ映画。



しかし当然ながら氷結ディザスターパニック要素は皆無だし、週一で休むエイリアンなど影も形も出てきません。元ネタ両方とも全く何の関連性もない。至って地味で真面目な作品です。なんでまたこんな邦題になったのか。



それで内容の方ですが、近未来の南米で”ジ・アイ”なる軍事政権の圧政に苦しむ貧しき民がレジスタンスを結成し、どうにか貧民街を囲む壁の外へと逃げ出そうとするディストピア系SFとなっています。街を囲む壁のビジュアルとジャケの煽り文句が「進撃の巨人」風味。しかしSFと言ってもほんの少しそれっぽい小道具が出るだけで、あとは普通にグアテマラの世情を反映している社会派映画と思われます。まあグアテマラの社会情勢はほとんど知らないので勝手な想像ですが…。



欧米人から見れば日本も韓国も中国も一緒に見えるのと同じように、日本人から見ても南米の小国はどこも一緒に見える。そんな荒い解像度の南米観を少しでも改善するには、各国それぞれの映画を観て馴染んでいくのもひとつの手ではないでしょうか。



などと真面目な話はさておき、面白かったかと言われると残念ながらそうでもないです。いや、クソ映画の類ではなくクオリティは決して低くはない。ただ画面が暗いシーンが多くて人物の判別がつきにくいのと、そもそも圧政に苦しむ貧民を眺めていても楽しい気分にはなれないからです。リアリティがありすぎる…というか現実の暮らしに近いんだろうなと思えてくるのでなおさら気が滅入る貧民の映像が延々続きます。



それ以前にまず娯楽映画のつもりで撮った映画ではないのでは?と思ってしまうぐらい映像も展開も地味でストイック。宣伝文句を真に受けてSFアクションを期待した向きはまず眠りに落ちるでしょう。ただ、いよいよ壁の外へ脱出するぞ!となるクライマックスではしっかりジ・アイと主人公との手に汗握るチェイスが描かれるので、その点はまあそこそこ楽しめました。




「デイ・アフター・トゥモロー・ウォー」(Amazon Prime Video)



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