「パーフェクト・ホスト」 感想 健康オタクのヘルシーサイコ野郎現る

概要

原題:A Perfect Host

製作:2020年アメリカ

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:チャド・ワーナー

出演:ケイトリン・マリー・マーシャル/ジェフ・マッキッティ/エミリー・ハイオット/ジョン・マイケル・シンプソン/ケイシー・ギブンズ


休暇を楽しむために湖畔の貸別荘を訪れたサムとエイブリー。だが、健康オタクのオーナー・タッドが何かとウザ絡みしてきてのんびり休暇を楽しめない状況に。タッドは病気の妻のために”フィット・フリー”なる健康法を編み出し、それを執拗に勧めてくるのだ。だが、エイブリーは入るなと言われたトレーニングルームでタッドの秘密を知ってしまい…


予告編

感想



今月配信開始のサイコスリラー謎映画。

アマプラ299円。



73分と尺が短いくせになかなか事件が起きず、サムとエイブリーの気だるいバカンス映像を眺めるのが結構つらい。これもダメな方の謎映画かな…と諦めモードに入っていたんですが、サイコな別荘オーナーのタッドが本性を現わしてからはそこそこ変な見せ場やセリフがあり、わりと楽しめました。



サイコスリラーはやはりメインディッシュとなるサイコ野郎に強烈な個性があってほしいものです。と言っても大して人も殺せない低予算インディーズ映画でそれは難しいと思われるので、「ザ・テスト 護身術」のように変な方向性でイカれていると私が喜びます。



その点、「異常な健康オタク」という方向性でイカれている本作のヘルシーサイコ野郎・タッドのキャラクター造形はなかなか良いです。貸別荘のお客のところにズケズケとやってきて、頼まれもしないのにスムージーを作って飲ませたり、朝っぱらから長時間のスパルタ筋トレ指導をしてみたりする。それで形式的にお礼のコーヒーをご馳走しようとしたら「カフェインなんて毒を飲ませて殺す気か!」と怒り出す。



実際にそんな奴がいたらたまったものではありませんが、傍で眺めている分には面白い。タッドは湖上でボート遊びをしていたエイブリーたちを湖に落としてしまい、花を持ってお詫びにやってきます。エイブリーに「気にしてないからもうほっといて」と言われたタッドの対応がこれ。



「失礼センサーを作動させよう。ウィ~ンキュインキュイン…失礼なのは俺だ ガハハ」



単にアホなだけで実は悪気はない奴なのではないか?


という気もしてきますが、そこは一応ちゃんとした異常者で、後半では麻酔銃を使ってエイブリーたちに襲い掛かってきます。サイコ野郎のメインウェポンが麻酔銃というのも意外と目新しくて良いかもしれない。殺すのが目的ではないからこそのチョイス。



しかしタッドは健康オタクで鍛えまくっているわりには全然強くはなく、本性を現わして早々にエイブリーの一撃でヒザを完全粉砕されてしまう。いきなりの機動力喪失にビックリですよ。このシチュエーションでサイコ野郎との鬼ごっこ展開を放棄するとは…。



エイブリーも別に慌てて逃げなくてもヒザを砕かれたタッドごとき煮るなり焼くなりどうにでも出来るだろと思うんですが、目立つ場所に置いてあるプリウスのキーを必死に探してオタオタしてくれます。まるで古典的コントのようです。ようやくキーに気づいてプリウスに乗り込んだエイブリーに向かってのタッドの叫びがこれ。



「酒を飲んだら運転するな!!」



緊迫したシーンで妙に常識的なセリフを吐いてしまうタッドに微笑。

酒を飲んでなかったら運転しても良かったんですかね?

何にせよ、愉快なサイコ野郎でした。



「パーフェクト・ホスト」(Amazon Prime Video)


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