「ナノシャーク」感想 ちいサメ なんかちいさいサメ

概要

原題:NANO SHARK

製作:2024年アメリカ

配信:ニコ生ホラー百物語チャンネル&コンマビジョン

監督:ブレット・ケリー

出演:チャンス・ケリー/グレイソン・ケリー/他


カナダ首相の息子がなんかの病気で倒れてしまう。

治療のためには、ミクロサイズに縮小したサメと潜水艦を体内に送り込む必要があった。


予告編


予告編、無かった。


感想



8月頃に名古屋の大須シネマで上映されたブレット・ケリーの新作クソサメホームビデオ。

アマプラとかで配信が始まったわけではなく、「えっ?サメ男」などと同じようにニコ生ホラー百物語で数日間だけ配信中。




内容は、カナダ首相の息子の病気を治すために縮小されたサメと潜水艦を体内へと送り込む話。つまりはサメ映画版ミクロの決死圏…なのだが、序盤でもう首相の息子はうっちゃってストーリーは音速で斜め下にすっ飛んでいく。この爆迷珍走ぶりはさすがブレット・ケリーと唸るしかない。しかし、オチは綺麗に付けられている。「快ケツ!」には吹き出しちゃいましたよ。なんという構成力…。



本筋はともかく、実質的にはオッサンやケリーの息子たちがひたすらボケ倒すコント集といった趣き。もちろん滑っているところの方が多くて苦笑いが浮かんできますが、時々クリティカルな一撃を入れてくるから侮れない。まあ、ふざけた意訳字幕のおかげもかなりありますが。



面白かった意訳例:


「クソシャめ…」

「ちいサメ野郎が!」

「ヘイ、お前何サメのつもりだ!やんのか!」


など。



とはいえ、ブレット・ケリー作品でここまで笑わせてもらえるとは予想外でした。あまり退屈する間もないので、おそらくケリー史上最高傑作でしょう。



ほんで首相の息子じゃないなら誰の体内に入るんだよと言う話ですが、実際はほぼ無関係の清掃員のオッサンの体内にうっかり入ることになります。別に病気でもないのに。いや、彼は奇行が過ぎるので脳に病気を抱えている可能性はあるけど。特に、鏡を見ながら耳と鼻に綿棒を突っ込んでいくシーンの意味不明さはまさに奇行種。しかし清掃員だけがおかしいわけではなく、どいつもこいつもみんなおかしい。



住宅街でレモネードを売っている少年(ケリーの息子)などその最たるもので、奇行種清掃員ですらドン引きするレモネード製造過程&ボッタクリ価格には目を剥かされます。ケリーもこんなインパクトあるシーンを撮れるんですね。息子さん共々今後に期待が持てます。



ちいサメが人に噛み付く場面ではビニールシートか紙袋をクシャクシャと丸めたような音が使われており、もうそれだけでも笑いを誘います。普通のクソサメホームビデオだといつも「カリッ!シャクッ!」みたいな硬質な音が多いんですよね。人喰い効果音の新境地を切り開いたという意味でもケリーのフロンティア・スピリットが光ります。



そんな感じで本編の出来は(クソサメホームビデオ的には)極めて上々なのですが、実際のところ本作一番の見所はエンドクレジットでの尺稼ぎなんですよね。ここに映画史上初と言っても過言ではない斬新すぎる試みが複数仕掛けられております。中でも「ちゃんと観てた?」には(笑)と言う他ない。視聴手段がかなり限られておりなかなか厳しいとは思いますが、クソサメホームビデオマニア必見の楽しい珍作でした。





「ミクロの決死圏」(Amazon Prime Video)




コメント