概要
原題:SPACE SHARK
製作:2024年アメリカ
発売:コンマビジョン
監督:ダスティン・ファーガソン
出演:エリック・ロバーツ/ブリンケ・スティーブンス/スコット・シュワルツ/メル・ノヴァク
宇宙のなんかの研究施設で、走る宇宙サメ”シャーク・ベイダー”と謎の宇宙植物が製造されていた。
だが、隕石の衝突で地球に落下。
つかの間の異物に野山がざわめき出す…
予告編
感想
「サメデター」「シン・感染恐竜」など異常に低品質なホームビデオを撮ることで一部の好事家に知られるダスティン・ファーガソン最新作。
今回、ロムルスに便乗したのかオープニングが「エイリアン」のパロディになっています。それなりのCGで描かれる宇宙空間の映像はこの監督にしてはわりとイケてると言えなくもない。
あのアカデミー賞ノミネート俳優にしてエクスペンダブルズでは敵ボス役まで務めたエリック・ロバーツが主演してますしね。20秒ぐらいの出番とはいえよく出てくれたなあ。本作なんて小遣い稼ぎにもならなかっただろうに…悪辣なビジネスマンみたいな顔してるけど実際はものすごくいい人なんでしょうね。
エリックはさておき、エイリアン風なのはオープニングだけ。地球に降り立ったスペース・シャークことシャーク・ベイダーはサーモビジョンと光学迷彩を装備しており、むしろプレデター風味。
なので本作の方にこそ「サメデター」の邦題が合いそうです。どうせなら「サメデターズ」とか「サメデリアン」のような邦題の方が良かったかもしれません。
が、字幕担当者はその辺も承知していると見え、
「サメデター?
サメデターとは違う」
などというセリフがあったのは笑いました。
…が、本作はその辺でエネルギー切れ。
あとはもう知らんとばかりの空虚極まりない内容に加え、何も解決していない投げっぱなしエンド。いや解決どころかそもそも何も始まってすらいなかったので空気投げエンドか。さすがの私もここまでカラッポを極めた虚無映画は初めて観たかも。
なんせこれ、ほぼほぼ単なる環境映像と言っても差し支えないです。その辺の野山に設置されたカメラに映った映像が垂れ流されているだけに等しい。仮にこれを病院の待合室や公共施設などで流しても、何の違和感もないことでしょう。むしろそういう目的で売れるまである。
まあ、一応人が歩いていることは歩いていますがね。Z級映画恒例の充実したお散歩映像集。しかも人が動くと映像がめちゃくちゃブレて残像が気になりまくる。この仕様は毎度のことながら本当に意味が分からない。これを劇場公開したりブルーレイで発売するコンマビジョンは酔狂とかいうレベルじゃない。
こんな途方もないビジネスを展開しているプラチナ企業を支援しないわけにはいかないので、せめてブルーレイとTシャツは買っておきました。
↑元ネタが本作とは思えないほどクールなデザイン。
もちろんこんなシーンは一切ない。
↑このジャケ裏のシーンだけを楽しみに観たものの、実際のシャーク・ベイダーの出番は極めて少ない。トータル1分もなかったような。
「紫色の運動靴が私をここまで走らせるんだ」
とは誰だか分からん人が誰だか分からん人と電話しているときに出てきたセリフですが、シャーク・ベイダー卿の言葉であってほしい。どっちにしろ意味分からんけど。
しかし見ていてつらかったかと言われると意外とそれほどでもない不思議。いや劇場で観ていたら確実に致死量のZ級成分含有量だし、確実にこの世に存在する映画の中でも最悪の部類に入るクオリティですが、家でボンヤリ眺める分にはそこまでつらくなかった。単なる環境映像だったのが逆に功を奏したのか。内容は虚無でも音楽だけはわりと良かったのもあるかな。
そもそも勝手に80分ぐらいあると思い込んでいたので、あまり長く感じなかったのもあります。65分くらいで急にぶった切られるように終わったのは驚きました。
え?もう終わり?
そこで終わり??
っていう。
そこからの超絶牛歩エンドクレジットには微笑。
クライマックスという概念もなければ、起承転結すらもない。そこにあったのは、手つかずの自然に溶け込んだシャーク・ベイダーと宇宙植物。ただ、それだけでした。
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