概要
原題:Ashgrove
製作:2022年カナダ
配信:トランスワールドアソシエイツ
監督:ジェレミー・ラロンド
出演:アマンダ・ブルジェル/ジョナス・チャーニック/ナタリー・ブラウン/クリスティーン・ホーン/スギス・ヴァルギース
世界中の水に謎のウイルスが蔓延し、6000万人もの人々が死亡。水を飲みすぎたら死ぬこの世界では、5年後には全ての人類が死滅すると予想されていた。そんな中、人類唯一の希望は水化学博士のジェニファーが思いついたある方法だった。だが、ストレスで解離性健忘になったジェニファー博士はあろうことかこの数日間の記憶を全て忘れてしまう。何とかストレスを取り除いて思い出そうと、夫と二人で田舎の農場で休息を取ることにするが…
予告編
感想
人類を毒水の脅威から救う方法を思いついたのにストレスでうっかり忘れてしまった博士が何とかそれを思い出すため、田舎の農場でリラックスして過ごすが…というカナダ産謎映画。
水ウイルスの蔓延によって滅びゆく世界、というのはポストアポカリプス映画的にはちょっと魅力的な設定です。水は今までと変わらずそこにあるのに飲むことができず、渇き切って死んでいくのか、それとも毒水を飲んで苦しみ抜いて死んでいくのか。そんな極限状況が楽しめそうな匂いがします。
が、本作では毒水を飲んで内臓デロデロになって死ぬ人間は拝めません。というか昼食後の時点で0.7リットルくらいの摂取量であれば何も問題ないわねというセリフがあるので、思ったよりだいぶゆるい設定になっています。安全な水への渇望が全く描かれない。まあ水が全てアウトの世界で人類死滅まであと5年も猶予があることを考えるとそんなもんでしょうか。弱肉強食の荒廃した社会になるでもなく、みなさん普通の日常生活を送っております。
水ウイルス周りの細かい設定はこの映画で描きたい本質の部分ではないのであんまり突っ込んでも仕方ないとは思うんですが、水ウイルスの脅威に対抗するジェニファー博士がやたらとサラダを食べたがるのはさすがに変な感じはします。スイカに含まれる水分を気にする描写はありますが、レタスもほとんど水分なのでは。水分を含む全ての食べ物がアウトとすると、楽しそうにアップルパイを食べるシーンも気にはなる。
水が毒なら河川も危険と思われますが、博士たちはカヌーでのんびり川遊び。うっかり転覆したらおっ死んでしまうのに本当にそれでリラックスしてストレス解消できてるのか!?
空気中の水分も危ないのだから乾燥地帯に行くべきではないのか?
何だかそんな細かいことを気にしてしまう私の方がストレスを溜め込みやすい性格で損しているような気がしてきました。
博士のストレスを解消することが主目的なので、夫の不穏な行動がちょいちょい出てくるもののひたすらゆったりまったりした映像が続くのでちょっと眠たい。なんせ映像的に目を引くような場面が一切ないのが厳しい。とはいえ、あれだけガバい設定だった「水ウイルス」はこれをやりたかったのかーというオチの納得感は一応あるので、カナダのテレビ映画としてはボチボチかなと思います。
「ロスト・サイエンティスト 水が毒となった世界」(Amazon Prime Video)
コメント