今年は「ジョーズ」の公開から50周年ということで劇場公開中のIMAX版を鑑賞して参りました。
いや~それにしても50年って…
私がこの映画を初めて見たのは1991年頃なので、その時はまだせいぜい16年前の映画だったと思うと実に隔世の感があります。まだホラー慣れしてないイタイケな頃だったのであまりの恐ろしさにしばらく海どころか風呂にすら入りにくくなったほどのインパクトでした。その後、いつまでもジョーズの幻影を追い求めてサメ映画というサメ映画を片っ端から漁りまくる歪んだ異常鮫愛者と化してしまうほどに。去年だけで14本も新作サメ映画観てますからね…。
そう考えると私の人生に最も強い影響を与えた映画と言っても良さそうです。
もしくは珍作・クソ映画の類に目覚めさせてくれた「トラックス」か。
しかし、ジョーズは思い出の中で神格化されすぎているのではないか? あれだけパクリや劣化コピーが擦られまくった作品を今さらスクリーンで見ても大して面白くないのではないか? サメ映画で2時間越えは冗長ではないか? という懸念もありました。
が、全然そんなことはなかった。今見ても一分の隙も無く途方もなく面白かった。前半の海開きを強行する市長のあたりはともかく、後半の海洋アドベンチャーは今まで誰にもパクられてないし劣化コピーすら難しい代物。50年後の人類から見ても、やはりサメ映画の原初にして頂点に変わりはないことが確認できました。
ま、今となっては「ジョーズは海洋アドベンチャー映画であってサメ映画ではない(面白すぎるから)」と主張するこじらせ異常鮫愛者が結構いたりしますが、私はそこまでひねくれてないのでジョーズは一応サメ映画であるという認識です。
というか、前半ばかりがほんと色んな映画にパクられすぎなんですよね。前半だけ見ればサメの姿はほぼ映らず、それでもしっかり恐怖を演出できているのをいいことに「サメを出さなくてもサメ映画は作れるぞ!」と軽々しくパチモンを粗製乱造する言い訳にされてしまった感。むしろサメが出ないことを売りにしたサメ映画シリーズが作られる未来など一体誰が想像できたことか。
そんなのに慣れ過ぎたせいか、後半は記憶にあるよりサメがバンバン画面に出てきて驚いたんですが、今見るとCGもなしにあんな巨大なサメを暴れさせるなんて現代では到底フカ能としか思えない。むしろCGには絶対に出せない味と迫力がある。もはや月面着陸とかオーパーツの域です。
サメにかけられた賞金を狙って全米から有象無象が集まって海に繰り出すシーンではつい「ジュラシック・ジョーズでも似たような場面を観たなあ」とか思ってしまいました。画面はあっちの方が古臭いもんで…
いい大人になった今観ると、市長もクイントもそんなにイヤな人には見えないもんですね。賞金稼ぎがイタチザメを釣ってきた時の署長と市長の大喜びしている笑顔とか、イカリ柄のスーツ姿とか実にほほえましい。ただ、あの頃と違って今じゃサメはすっかり愛され面白生物なので吊るされてるイタチザメのつぶらな瞳がやけに気の毒に見えてしまいました。
クイントに至っては、私が就職した時はまだ会社にこんなオッサン結構いたよな~…としみじみしてしまう。それだけに、クイントが喰われて死んでも「まあ、どうでもいいか」とばかりに明るい笑顔でハッピーエンドに漕ぎ出す署長とフーパーが何だかちょっと冷たい人に見えたり。
上映期間が短いうえに1日1回だったので危うくスルーしそうになりましたが、思っていた以上に楽しめました。これはIMAXで観て良かった。せっかくだからジュラシックパークも観に行こうかな。ついでに、スピルバーグ関係ないけどかなり長い間「ジョーズ以外で唯一まともなサメ映画」と呼ばれていたディープ・ブルーも再上映してほしいなと思いました。
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