概要
原題:LA LUZ MALA
製作:2022年アルゼンチン
配信:Allá ité
監督:カルロス・クバル
出演:オラシオ・フェルナンデス/ホルヘ・ロマン/ジゼル・モッタ
ラジオ番組のスポンサーを失ったルネとウォルターは、その夜UFOが墜落する瞬間を目撃する。今度はUFO番組を作ってテレビ局へ持ち込んでやろう!とビデオカメラを持って墜落現場と思しき湿地帯を目指すが…
予告編
感想
アマプラ配信中のアルゼンチン映画。
タイトルとサムネでSFホラーかなと思って観てみましたが、非常にのんびりしたゆるゆるコメディ風味のモキュメンタリー?でした。
ラジオ番組のパーソナリティがスポンサーを失ってしまい、今度はテレビに売り込むためUFOの墜落現場を目指すという導入は「メリーおばさんのひつじ」や「バイオハザード・スパイダー」と同じような流れ。こうも短期間で似た導入の映画を観てしまうと、何かインディーズ映画界では食い詰めたラジオパーソナリティを主役にするブームでも来ているのかと思ってしまう。
まあ、本作はメリーおばさんやバイオスパイダーよりは圧倒的に真っ当な作品なので一緒にするのはよろしくないとは思いますが。
ルネとウォルターは定職にも就かずスポンサーに逃げられるようなラジオ番組をやっている。今度はUFOの墜落現場へ行きたいから車を出してくれとママにせがむと、
「ラジオ番組をやるなとは言わないけど、ちゃんとした仕事もしなさいよ」
とたしなめられ、
「システムの奴隷になるのは嫌なんだ!」
と反抗してしまう。
一見10代か20代前半の子と親の会話のようですが、ルネとウォルターはどう見ても還暦間近の中年男性。
じゃあUFOなんてくだらないものを取り上げてないで例えばファッションみたいなまともなテーマでやりなさいよと説教するママはうんざりした表情のわりに言ってることが優しい。何だかんだ経済的にはゆとりがある家庭なのか。
「マンディブル」とかもそうでしたが、こんないい加減な生き方をしている中年男性を見ると実にうらやましくなります。いやもうあこがれと言ってもいい。なぜ私は物心ついた時から毎日早起きして学校へ行き、やりたくもない勉強やら何やらの苦行をくそまじめにこなし続け、やっと卒業したら今度は毎日早起きして会社へ行き、やりたくもない細かい仕事やら何やらの苦行をこなすだけの灰色の人生を送り続けているのか。なぜこの「システムの奴隷」からいつまでも抜け出すことができないのか。
こういう映画を観ていると「別にリタイアして彼らのようにテキトーに生きてもいいんじゃないか」という気がしてくるのがいい。別に宇宙人などいなくてもいいんです。それっぽい何かを見たというだけでもゆっくりドライブ気分で謎の歌を歌いながら湿地帯を目指してもいいじゃないか。
と思ったんですが、一応宇宙人に接触された人間が人格やクルマを盗まれていたりと全くのデタラメモキュメンタリーではない模様。また、湿地帯に伝わる怪談だか都市伝説的なものが多分タイトルの「邪悪な光」であり、それが宇宙人と関連しているかどうかみたいなミステリー要素があったような気もします。
なんせスペイン語の自動直訳字幕ではだんだん理解が追いつかなくなってくるうえに終始まったりした雰囲気なので後半はついウトウトしてしまい、正直よく分かりません。分かるのは、ルネとウォルターがいかに自由でいい加減で楽しく生きているかということだけ。
ま、それはそれでいいんじゃないかな。
「邪悪な光 The Evil Light」(Amazon Prime Video)
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