「タバコは咳の原因になる」 感想 タバコの害は武器になる

概要

原題:Fumer fait tousser

製作:2022年フランス

配信:U-NEXT

監督:カンタン・デュピュー

出演:ジル・ルルーシュ/ヴァンサン・ラコスト/アナイス・ドゥムースティエ/ジャン=パスカル・ザディ/ウーヤラ・アマムラ


タバコの有害物質を噴射して怪人と戦うタバコ戦隊のメンバー「水銀」「ニコチン」「ベンゼン」「メタノール」「アンモニア」の5人は、今日も採石場で手裏剣を投げつけてくる亀の怪人を退治していた。だが、ボスネズミによればまだ彼らには団結力が足りず、いずれやってくる脅威の怪人トカーゲには勝てないという。タバコ戦隊は団結力を高める研修のため、湖のほとりでひとりずつ怪談を披露していく。


予告編

感想




「ディアスキン」「マンディブル」などの超珍作を連発するフランスの怪人カンタン・デュピューの2022年作品。2年くらい前に東京の映画祭か何かで上映はしたようですが、この度めでたくU-NEXTで配信が始まりました。



本作の何を語ってもネタバレになる気がするし、逆にストーリーラインも何もないからそんなもん全然気にしなくていいような気もしますが、まあそういうことを気にする人は先に本編を観ておいてください。と、いちおう先に言っておきます。





内容は上に書いたように、いつも通りうれしいくらい意味不明でカオスな流れとなっております。戦隊モノのパロディと言えばまあそれはそう。冒頭、汚いカメの怪人が手裏剣を投げてくる時点で既に面白いし、タバコ戦隊がそれぞれの名を冠した有害物質を一斉に噴射して怪人をやたらグロく爆裂させるのもまた唯一無二の絵面で面白すぎる。咳の原因どころじゃないド派手な有害っぷり。何気に今回スプラッター度高めです。あと、微妙に日本要素が多い。



普通ならそのまま戦隊モノに乗っ取った展開につなげるところなんでしょうが、そこはこの監督なので全くこちらの想像した通りにはいかない。団結力を高める研修として、たき火を囲んで怪談話で競い合う…というのが尺的にはメインと言っても過言ではない謎展開に。どうしてタバコ戦隊だなんて皮肉っぽい設定を作っておいて大して関係もない怪談話をしたがるのか。しかもタバコ戦隊だけで語り合うのかと思ったらその辺の近所の人とか、しまいには湖で獲れた魚までもが参戦してくるからたまらない。毎度ながら発想も映像も最高に自由すぎて最高です。




しかもその魚が語る怪談が一番面白いというのが、もはや皮肉と言っていいのかどうかもわからないナンセンスの極み。粉砕機の事故でミンチになった青年が車に酔って嘔吐するくだりのインパクトが絶大すぎる。ミンチだけど口だけは無事だからゲロも吐くしタバコも吸うよと。絶対に他では見られないと断言できる激珍映像に興奮を禁じ得ない。見た目かなりグロくて気持ち悪いんですが、



タバコ → ゲロ → ピンポン → 犬 → 焼けたから終了



の流れは私の心の珍作メーターが限界を振り切ってしまい、しばらく笑いが止まりませんでした。まさかミンチになった人間によるコントが観られるとは…。今まで見た事がないどころかまるで想像したことすらないモノをいともたやすく繰り出してくれるからカンタン・デュピューはやめられねえ。まあそうは言っても本作より「ディアスキン」「マンディブル」の方が好きですが、それに次ぐ満足感はありました。






「ディアスキン 鹿革の殺人鬼」(Amazon Prime Video)


アマプラでは配信しそうにないのでこちらを貼っておきます。

オールタイムベスト10に入れるくらいには愛している作品です。



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