「サイバー・ファイター 復讐の使者」 感想 巨大サイバー帝国 VS 野人

概要

原題:SAVAGE

製作:1996年アメリカ

配信:Mahagonny Pictures

監督:アヴィ・ネッシャー

出演:オリヴィエ・グラナー/ジェニファー・グラント/カリオ・セイラム/サム・マクマレー/クリスティン・ミンター


平和に暮らしていたアレックスはある日突然謎の襲撃者に妻子を殺害され、廃人同然になってしまう。そして2年後、精神病院に収容されていた彼は亡き妻の導きによってある洞窟へと辿り着く。そこでサイバーゴッドからの啓示を受けたアレックスは、強力な野人パワーを得て復讐に臨む。


一方、VRゲーム大手のタイタン社は野人と化したアレックスを捕捉。彼を始末するべく刺客を送り込む。タイタン社こそが全ての黒幕であり、自らがサイバーゴッドになろうとしていたのだ。


予告編

感想



30年ほど前の古い作品ですが、





なかなかの珍作という話を聞いたので観てみました。



導入部のあらすじは上に書いた通り、確かに相当変な感じ。サイバーゴッドって何かしら?と思われることでしょうが、肉体を捨ててサイバー空間で永遠の命を得た超古代文明人(エイリアン?)とのこと。説明を聞いてもよくわからん存在ですが。どのくらい昔かというとクロマニョン人がいた時代のようで、主人公アレックスが野人と化すのもクロマニョン人のスーパーパワーを得たからではないかと考えられます。



つまりサイバー・クロマニョン人というわけですかね。アレックスはウホウホしながらアリンコやウサギを狩っては洞窟で食べるという原始人丸出し生活を送る。やがて復讐のため街へ戻るが、髪は伸び全裸ムキムキで言葉も話せず身も心もハイパー・クロマニョン人と化していたため、すぐに見つかってしまう。だが悪の巨大VRゲーム企業からの刺客も野性味あふれるクロマニョン戦法でちぎっては投げ。噛み付きだの引っ掻きだのとカッコよくはないですが、途方もない跳躍をバンバン披露したりと身体能力は非常に高いので見応えはあります。



が、アレックスは中盤で突如髪の毛をバリカンでセルフカットして爽やかなカリアゲ短髪スタイルに。ちょっと綺麗にカリアゲすぎではないのか。しかもそこからはなぜか普通に服を着て会話が出来る文明人に戻ってしまう。今までの原始人スタイルは何だったのか。研修で原始人なりきり生活を送っていたのか。



とはいえ、中盤からはメタ社みたいな悪徳企業のゴツいザッカーバーグみたいな変な社長が謎の古代装置でサイバー空間へ行って永遠の命を得るとか、ついでに人類を滅ぼすだの守るだのどんどん大きな風呂敷を広げてくる。こうなると主人公のヘアスタイルごとき細かいことは気にしていられなくなってきます。



自分は一体何を見させられているのか?と疑問になってくるほどのカオス具合ですが、刺客との銃撃戦とか警官隊との大立ち回りやらカーチェイスなど、わけわからんB級映画のわりにはけっこう金がかかったであろう派手なアクションが連続します。これも90年代レンタルビデオ全盛期の成せる業か。爆発は妙に安い合成だったりするのはご愛敬。にしても、今の極貧配信謎映画とは全然違います。



クライマックスでは視覚的インパクト抜群の光り輝くサイバーゴッド人がゾロゾロ出てきて色々えらいことになっており、映像的にはかなりド派手に珍奇なものを見せてもらえます。「宇宙からのツタンカーメン」を激しくしたような印象。ただ、サイバーゴッドと化した社長とラストバトルという展開にはならず、いまいち盛り上がれないまま不完全燃焼で終わったのが惜しい。とはいえ、珍作マニア的には大満足の変な映画でした。




「サイバー・ファイター 復讐の使者」(Amazon Prime Video)



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